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Sea Otter Classic

この4月にCalifornia Monterey にあるLaguna Seca Racewayで開催された世界最大の野外自転車イベント、Sea Otter Classicに行ってきまた。このイベント、木曜日から日曜日までの4日間開催されていて、約1000社の出店と約8万人の来場者があり過去最高の規模だったそうです。会場であったLaguna Seca Racewayは、2001-2018の間はマツダが命名権を持っていてMazda Raceway Laguna Secaというレーストラックでした。 会場の周りの環境はバイクライドにはすごく恵まれていて、無限に広がるトレイル、ロード、グラベルは最高です。

Laguna Seca Raceway
コース内側に設けられたエクスポ会場


エクスポマップ

Sea Otter ClassicはLife Time Grand Prix という選出されたエリート男女それぞれ35人が年間を通じて3つのMTBレースと4つのGravel レースを競い合う大会の初戦です。私が参戦したレース、Fuego XLにその選手たちも参戦します。一周55km (獲得標高1,350M)を2周するコースで、シングルトラックとパンチの効いたアップダウンが多数あるトレールを走る高速コースです。このレースを選んだ理由は、私が昨年参戦したLeadville 100 MTBというコロラドの100マイルレースのクオリファイレースだからです。40 コイン(40人分の出場切符)が用意されていて、20コインが各エイジグループの上位選手に、残りの20コインが完走者によるくじ引きで与えられます。私のエージブループは33人でしたが、その切符を得るのは兎に角狭き門です。

TrainingPeaks(コーチと私とのトレーニングプラットフォーム)

昨年のLeadville参戦後、9月よりプロ選手の指導を受けながらトレーニングをしてきました。ワークアウト作成から、ニュートリシャン、参戦レースの選択、トレーニン後のアドバイスといった感じで、週10時間ペースでインターバル中心のワークアウトをこなし、自分の感触としてはとても充実した内容のトレーニングができた7ヶ月であったと感じていて、このレースのためにできる準備は全てやったと確信してレース(土曜日)に臨むことになりました。

実は実際のレースの三週間前にレースコース試走に来ていました。2日かけて二周コースを試走しましたが、その時は今年のカリフォルニアの大雨でコース上あちこちが沼状態。でも、本戦では大分ドライになり改善されていました。余談ですが、試走時にバイク用GPS(W社)にレースコースをダウンロードしてからライドに行ったのですが、トレールナビ機能はものすごくストレスフルな使用感。何十回も迷い泣きそうになりながらのプリライドとなりました。兎に角ナビの表示処理スピードが遅い!

レース試走の時のワンショット


さて、木曜日の朝、レース会場目指して自宅のあるアーバインから出発です。ヒッチタイプのバイクラックをSUVに装着、ただ、途中、トイレ休憩等で車から離れた時にラックに搭載のバイクの盗難という事もこちらではあるので、念のためにバイクは車内に搭載しました。 

1UP USA Bike Rack


現地までは車で350マイル(560km)、約5時間半のドライブです。実は現地ではリザーブドパーキングを金曜日と土曜日の二日間分予約していて、そのチケットを現地でピックアップ(Will call)のために午後5時までに到着しなくてはならなかったのでちょっと急いで5時間ノンストップでドライブして無事到着。 しかし指定されていた場所にWill Callがなく、仕方ないので、そのままレジストレーションの会場へ移動。その場所へは少し迷いましたが、無事にRace bib #とイベント会場への入場用のリストバンドをもらって退散。その後はちらっとイベント会場を丘の上から眺めた後、ホテルへとドライブ。今回宿泊したのはMarinaというMonterey の隣町。海岸沿い綺麗な所でした。

滞在したHotel近くにあるMonterey Bay


金曜日は朝からレース会場に出向き、イベントエクスポに出店されている各社のブースを満喫。出店数が多すぎて全部をみることはできませんでした。コロナ禍にバイク業界は在庫がなくなり消費者が欲しくても買えたなった時期が終わり、大手メーカーも人員削除に動いている昨今ですが、そんなことはあまり感じられないくらい活気にあふれていました。(大手のTrekはどういうわけか出展してませんでした。)

1UP USA Bike Rack (私も愛用)
いかにも早そうなCanyon Speedmax CFR
Specializedのブースが一番大きかったような。
Pinarelo

Pinareloは現在はMTB は商品ラインアップには無いが、Ineos 在籍のTom PidcockとPauline Ferrand-Prevotが先日行われたFrench Cupでプロトタイプで参戦していたとの事。いよいよPinarello MTBが再来間近か。

NEW SRAM EAGLE TRANSMISSION
SRAM FLAT TOP CHAINS

SRAMのNEW Eagle Transmission. ディレーラーハンガーを無くし、フレームにAxleを通してダイレクトマウントできる優れもの。転倒してディレーラーハンガーを曲げてしまって、後で調整する必要性がなくなります。多くのMTBメーカーが挙ってこの新しいディレーラーをバイクにインストールして展示していました。

その後ホテルに戻り、バイクジャジーに着替えてホテルの近くを海岸まで45分ほどバイクで軽くスピン。 早めに夕食ということで、車で15分くらいのイタリアンレストランに出向き、レースのためのカーボ摂取のためのパスタをテイクアウトしホテルでガッツリ食べました。

その後、パイクにBib# を取り付け、午後10時に就寝。

さて土曜日、レース当日。朝5時に起床。自宅から持ってきたFoam Rollerを用いて20分ほど念入りにストレッチ。

2Lのhydration bladderを2setと24オンス(700ml)のWater bottle 2本にGU Energy Roctane power drinkを入れ、GU Energy Gel (20mg)を準備、レース中は20分ごとに摂取します。(コーチからの指示) 

バイクのタイヤ圧(前後幅2.35”)をフロント19 psi, リアーを20 psiに設定。Forkは100psi,  rear shockは150psiであるのを確認。朝食をさくっと済ませバイクジャージーに着替えていざ出陣。レース会場までは車で30分くらい。レース会場付近に来ると霧がすごくて車線が見えにくく、前の車を目当てに運転しようやくパーキングに到着。

パーキングあたりでもまだ少し霧が。

車からバイクを出し、バイクシューズに履き替えてスタート地点へとバイクを押しながら歩いて向かいます。補給用バックドロップがコース上二か所に指定されているので、私はスタート地点から200mくらいにある場所にHydration packとGelのはいったBagを置きに行きます。その後はスタート地点に戻りスタートを待ちます。 同じエージグループのライダーの人たちとすぐに談笑。私の左側に並んだ人は過去に10回このレースに参戦。その人曰く、“こいつらスタートしたらみんなスプリントダッシュしていくから気をつけろよ“ と教えてくれました。右側に並んだ人は今はNew Mexico在住ですが、大学はUC Irvine卒業ということで私がIrvine 在住だというと話が盛り上がりました。

私のエイジグループ(60-69)のスタートは9時30分。Men エージ(70+)も同じ時間にスタート。その5分後に女子エージグループがスタートです。エリートMenは30分、エリートWomenは25分前にスタートします。Fuego XLというこのレース、昨年まではFuego XCという名前で80kmのレースでしたが、今年からLeadville (100マイル)レースの Qualifier になった事で20km距離が長くなりそれに伴い名称もFuego XLに。スタートも今年はエージグループごとのWave startに。

スタートの合図とともにみんな一斉にスタート。やはりみんなスプリントスタートでした。スタートしてからはレーストラックの舗装路の坂を1.2km登っていき、その後すぐに未舗装のsingle track に突入します。コーチの指示でpower 出力を平地と登りで(80-90)%FTPにキープするように指示されていました。急な坂を登る場合はそれ以上出しても良いが、登った後は元の数字にもどすようにと。 スタートして最初はその指示通りにペダリングしていましたが、そのペースだと周りのライダーに抜かれ始めて行きます。シングルトラックに入った時点で、Leadvilleレースでの悪夢を思い出し、これじゃまた、あの時の二の舞になりかねないと焦り始めてしまい、気がついたら全然オーバーペースに。しかしそのペースをしばらく維持していく事に。その後二人を抜いてさらに3人目を抜きにかかるが、single trackなので道幅が狭くなかなか追い越すチャンスが無く、しばらくそのライダーの後輪について行くことに。登りでは私の方が若干早いが、平地と下りではちょっと負けていたような感じでしたが、このライダーと共に行ったらさらに何人かに追いつくと確信。暫くしてさらに2人を抜き返し、さらに先を走るもう一人のライダーが視野に入り、その後すぐに追いつき3人でライドしていくことに。その後にアクシデント−1が。  シングルトラックでの下り左コーナーに入った途端、てっきりそこはbermがあるものだと勘違い、(っていうか、三週間前に2度、pre-rideしてました。)明らかにoverspeedで曲がりきれずに右側の林に突っ込み停止。二人のライダーは待ってくれるはずもなく、さっさと消えて行きました。急いでバイクを立て直し追いかけるようと思いましたが、この後まだ先は長かったのでマイメースで行く事に。 スタートから35kmくらいに達した頃に左脚に違和感が(アクシデント−2)。そのまま走り続けもう1人のライダーに追いつき、テクニカルな登りに入った途端、そのライダーの前輪が雨でできた深い轍にかかり転倒。すぐ後ろを走っていた私も思わず左足をペダルから外して地面に着地した瞬間、左脚が攣り激痛で動けなくなり2−3分そこで立ち止まってしまいました。先ほど抜いたライダーが後ろから来て大丈夫かと声を掛けながら去っていきました。その後、左足をペダルに入れ走り始めましたが、少しでも左脚に負荷をかけるとまた攣り出してしまい、どうにもならない状況に。その分を補おうと右脚での負荷が増えたのか暫くしてから今度は右脚も攣ってしまう事に。この時はすでに頭の中では “この7ヶ月辛いトレーニングを一生懸命にこなしてきたのにこのザマか。情けないなあー“  このままでは2周目はどう見積もっても無理だなと思い始めていました。 暫くこの調子で誤魔化し誤魔化しペダリングしていき、一挙にサバイバルモードに。暫くすると、後ろから別のライダーが追いついてきて、そのライダーもサバイバルモードに入ってしまったと話し掛けてきました。ゴール(一周目)までは約15キロくらい。その後2人で前後入れ替えながらゆっくりとライドしていきました。すると後ろから大声で叫ぶ声が聞こえたと思うと4人組ライダーが尋常でないスピードで追い抜いていきました。Keegan Swenson (race winner)含む4人のエリートライダでした。彼らはすでに1ラップ終えて、これが2ラップ目の終盤。いやーあのライディングスタイルには本当に憧れます。その後も何人ものエリートライダーに抜かれていきます。なんせシングルトラックなので、脇に避けて行かせてあげるのが大変でした。

我々2人はゆっくりとゴールに向かってライドしていき、ゴール手前の雨でできた轍だらけの激坂を登っていき、レーストラックにあるゴールに到着。その時点ですでに私のタイムクロックは4時間17分。

ゴール後の私とそのライダー(Robert: Age 50-59, 私よりも5分前にスタート)との会話:

Robert : あんた、二周目いくのか?あんたがいくなら俺もいくよ。でも一周目に4時間、二周目はそれ以上かかるからよく見積もってもFinish timeは8−9時間になるよ。 今の時間は午後の2時。ってことは、俺らがゴールするのは6−7時頃だぜ。

私: そうだよなあ。この両脚攣りがなければ絶対に2周目いくんだけど、どうにもならんな。俺はアワードセレモニーでLeadville行きのくじ引きをトライしたいから、それまでにゴールしたいんだけど、そのセレモニーは5時に始まるんだよ。どう見てもそれには間に合わないよなあ。

ってな会話をして、私は1周目でDNFすることを決心。Robertも同様にDNFしました。彼はGoogleのCyber security部門に勤務していて日本にも何度も行っているそうです。温泉がとても好きで日本は最高だと言ってました。email addressをお互いに交換し、またどこかのレース(Sea Otter Classic ?)での再会を誓い別れました。

その後、コーチにメールで完走できなかった事を報告。と言っても、コーチご本人もエリート女子部門に出場していて、私がリタイアした時はまだコーチはレース中でした。ゴールエリアにバイクを置いてゴールする選手たちを観戦してました。(座っている最中も足攣りまくり。情けなかったです。)暫くするとコーチが9位でゴール。1周目は1位で通過、でも二周目の途中で岩にタイヤの側面を擦りパンク。その修理が難儀し12分間かかってしまったそうです。 尚、一位とのタイム差は12分、パンクが無かったら優勝してた可能性大でした。

Post race analysis:コーチからの説明では、足が攣った原因は色々は要素が考えられますと。水分摂取不足、電解質不足、あるいは高強度の運動。TrainingPeaksによるPeak powerの分析では、各タイムレンジでのbest Peak power と2nd best peak(これまでのトレーニングのデーター)がレースの前半で記録されていて明らかに指示されていたpower outputよりも大きな数値だったことを考えると、やはり急激な前半の追い込みが原因であった可能性が高いのではないのかと。

今回の結果はとても残念でガッガリですが、これも今の自分の実力と捉えて、次のステップにしたいと思います。これで8月のLeadville 100 MTB レース参戦の夢は無くなりました。

では。

最後に、今回私はアクションカメラでレースの様子を撮らなかったのですが、Elite男子で4位に入ったCole Paton選手がyoutubeにポストしていた動画があったので、参考までにリンク貼っておきます。コースの様子がわかると思います。

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