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『ラストチャンス、ラストダンス』感想

昨日公開されたノットイコールミーの楽曲、『ラストチャンス、ラストダンス』を視聴しました。「僕」と「君」の曲です。
徐々に湧き出る高揚感を元に、感想を書いてみます。

まず衣装が可愛いですね。青色の透明感が際立つ衣装。シーンの切り替えが早いので停止しながら見ています。

君に似合う人なのかな? 噂流れる恋人
次の授業 理科室へ 早め歩き
知らない人 知らない君
踊り場でさ、見かけたよ
そんな顔で笑ってる君のことは嫌い

この歌詞から始まります。
「知らない人 知らない君」という箇所が良いですね。前者は「君」に出来た恋人のことで、本当に知らない人なのでしょう。後者は「僕には見せない顔で笑う君」だから、「知らない」と表現しているのでしょう。
この対比がオシャレですね。
ここを歌う尾木波菜ちゃんが可愛いです。髪飾りが人形みたいで可愛いです。

また、「そんな顔で笑ってる君のことは嫌い」と言いのけるのは強いですね。「好きな人が好きな人に笑いかけていて、そんな笑顔を僕は知らない」というのは胸が苦しくなる状況です。自分が「僕」の立場でも「君」の立場でも嫌ですね。しかし失恋ソングを失恋ソングたらしめる歌詞には最適です。

MVでは「踊り場」と歌う場面で踊っているメンバーを映す、というのが歌詞と状況がハマっていて好きです。
奈月心ちゃんのダンスがしなやかでとてもかっこいいです。そして声もかっこよくて大好きです。「君のことは嫌い」で映る奈月心ちゃんの顔がこちらを刺すような苦々しい目線のように思えて、胸が痛みます。作中の「君」は「僕」の顔が苦痛を帯びていることすら気付かないんでしょうね。

雨が降った日のハネたストレート
その表情も もう全てが愛おしすぎるけど

僕は髪を伸ばしたことがないのでわかりませんが、調べてみると湿気で髪の毛が広がったりするらしいですね。恐らくこれは「君」のストレートヘアーのことでしょう。「雨でハネちゃった~」とか言いながら櫛でとく表情を見て「愛おしすぎる」と思うのでしょう。
あと、ここのももきゅんのダンスがプリプリしていて可愛いですね。

君が好きだよ なんて 思わないようにする
ラストチャンス、ラストダンス 片想い
言葉の隅っこまで(全部)
最後まで見逃さないのに
気付かないなんて何故?
好きなのは僕なのに
大好きなのに Ah

「君が好きだと思わないようにする」とは失恋を経験した身から出る悲痛な叫びですね。非常にわかります。もうこの気持ちは静かに、誰にも伝えずにしまっておこう、と決心するのでしょうか。

ラストチャンスとラストダンスがどのように重なるのかはまだわかりませんね。そして「片思い」でなく「片想い」なんですね。「想う」の方がなんだかカッコよくて僕もそちらを使う時も多いですが、カッコよさだけで選んでいるのでしょうか。
調べたところ、単に心や頭で考えているのが「思う」で、感情を込めたい時は「想う」だそうです。言われてみれば確かに、となりました。
「片想い」と歌う早耶ちゃんが可愛いです。綺麗にウインクできるのは凄いですね。

「言葉の隅っこ」という表現がオシャレです。どんなことを言ったのか、という内容を覚えているのはもちろん、どんな口調でどんなアクセントを付けて、語尾のニュアンスまでしっかり聞いていることを表現しているのでしょう。
「そんなしっかり覚えているのにどうして僕が好きだって気付かないんだ」という叫びがその後の歌詞に続きます。
好きな人が言った言葉はしっかり覚えていますよね。逆に覚えられていたことに気付いたら、相手の好意も透けて見えます。

「好きなのは僕なのに」という言葉の裏には「君」への不満が見えますね。「どうしてあんな奴を選んだんだ」という思いがありそうです。
「僕」よりも恋人の方が「君」のことを好きな可能性も充分ありそうですがそんなことはお構いなしで、良く言えば一途、悪く言えば自分勝手な、恋に盲目な様子が描かれています。
今こうやって冷静に「僕」のことを批評できるのは他人事だからであって、自分が「僕」の立場なら同じことを思うでしょう。

1:42辺りの授業シーンで、隣の席の子に教科書を見せている早耶ちゃんの状況が、僕の過去の恋愛経験と重なって、懐かしくなりました。とてもリアリティのある場面ですね。

涙なんて流さないよ
心音だけバクバクで
風の強い帰り道 家へ急ぐ

「君」と恋人が一緒に帰っている様子を見てしまったのでしょうか。
僕は恋愛で泣いたことは一度もありませんが、失恋ソングでは主人公は涙を流しがちなので、一度は泣いてみたいな、とも思います。
と考えていたら、この曲では泣いていませんでした。やはり強い人ですね。
風の強い帰り道では恐らく髪は崩れるでしょう。「雨でハネたストレート」との対比に思えます。

人はいつも選択して
その度また進んでって
僕はどこでそのチョイス間違えたんだろう

差し込まれる思考パート。
先日「カオス理論」を少しだけ知りました。似たような行動をしてもほんの少し違うだけで、最終的な結果は大きく変わってしまう、というもの。例えると美味しく作れたミックスジュースをまったく同じ味で再現するとなると、果物の味、水の量、湿度、温度、混ぜる時間、注ぐ時間など寸分違わず同じにする必要があります。もしそのどれかが少しでも違えばミックスジュースの味は再現できず、まずくなってしまうかもしれません。
現在の「僕」と「君」の関係はまずいミックスジュースであり、美味しくするには材料なのか、部屋の環境なのか、ミキサーの都合なのか原因を探る必要があります。

失恋ソング 僕のこと突く
悲しいメロディ
踊れないでしょう このリズムでは…

「僕のこと突く」の箇所のダンスで肩を突く奈月心ちゃんが可愛いですね。
「踊れないでしょう このリズムでは」の部分は歌うのが非常に難しそうです。

この歌詞は一体何を意図しているのでしょう。悲しいメロディの曲では踊ることのできない、つまり失恋した沈んだ心では恋愛のように気持ちを昂らせることは疲れてしまうため恋は出来ない、ということでしょうか。上手くまとまりません。

明日の僕は どんな顔したらいい?
最後の恋 最後の人 君じゃなきゃ
貸してる本だって もういらないよ 君にあげる
たまに思い出してね
僕が好きだったセリフ Ah

「最後の恋」とあるので、何か自分の中で踏ん切りをつけようとしていたのでしょうか。例えばこの恋愛が叶わなかったら受験に専念するため、大学生になるまで恋愛はしない、などのように。
となるとやはりダンスは恋愛を例えたものと捉えて差し支えないでしょう。ラストチャンスとラストダンスは恐らく同じ意味であり、「最後の恋」を指しているのでしょう。
そんな「最後の人」に君を据えていましたが、それも叶わず。

「貸してる本をあげる」という歌詞も色んな意図が見えます。
まず考えられる意図としては、恐らく返してもらいたくないのでしょう。「どんな顔したらいい?」とありますし、恋人が出来てしまった「君」と何を話せばいいのかわからないのでしょう。
そして「君」のことを思い出せてしまう本を手元に置いておきたくない、という思いもありそうです。本棚整理をしてこの本が見えれば嫌でも「君」のことを想い出してしまう。そんなことは失恋した身には辛い仕打ちです。
さらに「君」の手元に置くことで、「僕」のことを再び思い返してもらう意図もありそうです。「少しの時間だったとしても一緒に過ごした時間を忘れないで」という軋むような声が聞こえてきそうです。

「君じゃなきゃ」と溌溂に踊る尾木波菜ちゃんが可愛いです。

僕が君を想う時に 君は誰といる?
どこまで戻れば間に合う?
誰の手も取らず 一人で最後に踊る
さよなら

「僕が君を想う時に 君は誰といる?」とは良い歌詞ですね。なんとも悲しい話です。
「どこまで戻れば」というのは過去の行動の話でしょう。どの分岐点まで戻れば「君」と恋人になれたのだろうか、ということです。
例え戻ったとしてもその先の分岐点で間違った方を選べば「僕」と「君」が付き合う事は無いわけで、そう考えると全ての選択肢を間違えずにやってきた「君」の恋人は尊敬に値しますね。
一人で踊る、とは「君」のことなんかもう考えない、という決別を込めた比喩でしょうか。その後でさよならと言っていますし。

君が好きだよ なんて 思わないようにする
ラストチャンス、ラストダンス でも好きだ
今日で最後だから 明日の君は好きじゃないよ
バイバイ 淡い期待

もうこの恋は終わらせ、もう「君」への想いとはさよならする、と言う意味での「ラストダンス」なのでしょうか。「手のひらの上で踊らされる」と言いますが「君」の一挙手一投足で気分を左右してしまうような、依存にも似た想いは今日で最後、ということなのでしょうか。色々考えられそうですね。
「明日の君は好きじゃないよ」というのが非常に好きです。個人的に一番好きな歌詞です。逆説的に「今日までの君は好き」ということを強めているようで味わい深いです。恐らく「僕」の心には深く残る恋愛になったのでしょう。

「バイバイ 淡い期待」を歌う奈月心ちゃん、良いですね。後ろで出番を待っているのが大将みたいです。

君の全部が好きだ 最後くらい言わせて
ラストチャンス、ラストダンス 片想い
笑ったその声も 授業に飽きた表情さえ
きっと忘れないだろう
好きなのは僕だけだ
あとちょっとだけ Ah

ラストチャンスとは君に想いを伝えることが出来る機会、なのでしょうか。今ならまだ「恋人がいるとは知らなかったんだ」と言い訳が出来る、ということなのかな、と思います。
「好きなのは僕だけだ」とは授業中の顔や「僕」に向けた声を好きなのは「僕」だけ、という意味なのでしょうかね。恋人が知らない「君」の姿を「僕」もしっかり知っていて、そんな姿を好きなのは「僕」だけ、と読み取りました。「「僕」に向けられた声を好きなのは「僕」だけ、というのは当たり前だろ」とも思いますが、その表現に「君」との接点を少しでも大事にしたい気持ちが表れていると思います。

個人的には学校のシーンよりプールで踊っているシーンの方が好きです。プールシーンの方が風に揺れる髪が自然体で好みです。あと野暮ですがこの時期に裸足でプールは寒そうですね。体調に気を付けてほしいです。

メンバー皆さん、キラキラしていて可愛かったです。MV内で日常の一瞬を切り抜いたようなシーンがたくさんあって、メンバーという「君」を見ている「僕」の目線を追体験できるような作品でした。

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