ああ、青春その4 大学生活のあれこれ

その頃、私は夜間大学に行っていて、お昼は法律事務所でアルバイトした。
  一人の弁護士の小さな事務所だった。仕事は電話番、裁判所に書類を持っていったり、ワープロに文字を打ち込んだりした。その頃の書類作りはほとんどワープロだった。今の若い人は知らないでしょうね
先生は朝食は食べず、お昼はうどんか、ロールパンひとつ。お決まりのコースだ。
私はお昼になると、外食に出かけてもよくて、一番嫌だったのは、先生がロールパンの気分のとき、1個だけ買いに行かされる事だった。パン屋さんで、1個だけ買うのがとても恥ずかしかったのを覚えている。

だが楽しみもあった。
その頃、合唱部に入ってきた聴講生がいて、(私は合唱部に所属していた)彼は近くの新聞社に働いていた。たまに、ランチのお誘いがあるのだ。私は彼を尊敬していたので、お誘いがあった時はウキウキした。ほとんど彼がしゃべって、私は聞き役だった。でも知識が豊富な彼の話は楽しかった。合唱部でも、音楽の知識は高く、いきなり指揮者として迎えられていた。

ある日、弁護士の先生が、何か大きな事件を担当して、失敗したらしく、二人の友達先生が駆けつけて、先生を慰めていた。私は仕切りを隔てた、隣に座っていて、聞いてはならぬような、場面に出くわしてしまったと思いながら、小さく固まっていた。
友達の弁護士さんが帰った後で、先生に、今の話は忘れてくれと言われたので、内容はさっぱり忘れている。
ただ、弁護士さんて大変だなあと思った感情だけ残っている。

そんなこんなで、彼の話に戻るが、ランチのお付き合いや、クラブの帰りの飲み会などに参加している内に、彼のことが好きになっていった。でもなぜか、仲が深まるのを恐れた。
彼は幼い頃に里子に出され、叔父夫婦に育てられた。そして私は母子家庭で育ち、二人とも子ども時代につらい思いをしてきているからか、まるで兄妹のような、似たような魂を感じたからだ。
韓ドラのようにはならないのだ。男女の仲というのは不思議だ。
尊敬もしてるし、すごく好きなのに、抱き合うことすら抵抗を感じてしまう。なぜ?
彼に告白された時も、返事が出来なかった。こんなに好きなのに、なぜ?
その感情は未だにわからない。
誰か分析してほしいものです。

そして、違う人と結婚となった時、彼は地球が三角になるくらいびっくりした、と言った。
結局15年たって、離婚するはめになったけど
あー、なんだろな。私の人生って
ちょっと、私の頭っておかしいんだろな。
でも、今となっては良い思い出です。

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