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宣教学④

   「宣教の概念的枠組みの新しい方向性」


 富める国と貧しい国とを埋めようとする、国際的な経済開発は失敗しており、環境破壊も起きているので、物質的に豊かになる開発ではなく、人間の精神的かつ社会的変革が必要である。同様に、奉仕活動を行うキリスト者の組織においても、物質的豊かさを求める非宗教モデルを安易に採用してきたので、目標や戦略を根本的に変えなければならない。
 


「変革のパラダイムへの概念的枠組み」

 宣教の新しい概念的基盤として、変革は宣言、存在、奉仕に対する新しい視点を提供する。イエスが示している愛と正義とに向かって人間社会が変革されるとき、提供する人と益を受ける人にも意識改革が求められる。
また、私たちの目標には、自分たちが望む形での技術的ー社会的ー心理的変化が含まれ、私たちがほとんど支配できない霊的介入や回心が必要である。
 変革パラダイムにおいて、私たち人間としての介入は間接的で、身代り的である。ここで、間接的はある状況に対して確立した解決策をあらかじめ提供できないことを意味する。身代り的は、私たちが仕えようとする人々と私たちが一つにならなければならないことを意味する。奉仕する人はキリストのようなしもべが模範となる。
 変革を視野に入れた宣教戦略はコイノミア的であり、デモンストレーション的である。コイノミア的とは、分かち合いと、参与を意味し、宣教においては、私たちは変革のために見出したことを分かち合い、和解した共同体の現実に参与する。デモンストレーション的は、新しい社会的現実の顕在化が宣教にとって不可欠であるということを意味する。

「変化とその担い手ー受肉のスタイル」

福音(良い知らせ)の介入は、押しつけがましいものではない。「蛇のように賢く、鳩のように素直」であることが求められる。私たちの宣教や奉仕をよく受肉的と表現する。キリストご自身に従うことを意味してきた。
 しかし、変化をもたらすやり方を考える上で、受肉的を触媒的と同じ意味で使うべきでない。 
 文化の変化は、福音の核心であり、キリスト者の視点から、変化の性質、目標、過程は相互に調和を持って関連付けられるべきである。
 受肉モデルの内容は、外からの変化である。望ましい変化には、私たちが働きかけようとする文化への適応が必要である。内的側面においては、共感と誠実さが求められる。
 すべての文化は不完全であり、変化が求められる。その変化の目的は、神の支配において人間のあらゆる可能性を開花させることである。
 自分たちと異なる文化と接しても、人間が作り出したものなので、受肉という良い知らせは、すべての文化に神を迎えいれる可能性がある。
 変化に携わる者は、文化を理解し、文化に受肉するべきである。

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