自分用

純粋に、自分のやりたいことってなんだろうと考えた時、たくさんの人に、面白いものとか、楽しいものを届ける、楽しんでもらう、それが将来の夢につながることかは別として、やってみたいことでした。面白いもの、楽しいもの、はカタカナで言うと、「エンタメ」っていうやつです。

2020年、2月末。新型コロナウイルスの感染者が、国内でも続々確認され始めた頃。小学校卒業間際のタイミングで、学校の休校要請が政府から発表されました。卒業旅行は中止、友達と行こうねと約束していた映画館も閉まり、恒例だった餅つき大会も取りやめ。「こここまで」と言われた休校期間はどんどんどんどん伸びていき、4月になっても、ずっーと家で過ごす時間が続きました。

この中で、仕事がなくなった人、辞めざるを得なかった人、辞めさせざるを得なかった人たちがたくさんいたはずです。卒業式が無くなった、入学式もなかった、友達と十分に小学校最後を遊べなかった、そんなことを簡単に、軽々上回るくらいのレベルのことが、社会では起こっていたはずです。その時は気づいていなかったけど。
エンタメというのは、映画にしろ、絵本にしろ、音楽にしろ、その人の生活の安全安心が保障されてはじめて、届く、みてもらえるものです。
職を失っても、何かしらは食べなきゃいけないし、飲まなきゃいけない。つまり、衣食住の最低ラインに必ず人はお金を出します。でもその足で、鬼滅の刃のチケット買うか、ヨシタケシンスケの絵本を買うかというと、ほとんどの場合そうはならない。なぜなら、その人は生活の安全安心が持ち合わせていないからです。
こう見ると、エンターテイメントの価値は、衣食住以下である、ととることもできます。生活必需でないことは明らかです。

一方、ずっと家で過ごさざるを得ない期間が続き、買い物にふら〜と出るのもはばかられる時期すらありました。そんな時、芸能人が続々と始めたYoutube、家にたまった本、スマホで見られる映画とテレビに、精神面で助けられた人は少なくないはずです。あの期間、すべての日本人が、スマホと本棚とテレビを奪われていたとしたら。

エンタメとは、明らかに「なければ死ぬ」というものではなりません。ただただ生物として生命活動を続ける時、最も不要です。楽しむということ以外、エンタメには存在意義がないから。極論、食って、飲んで、寝てさえすれば、生きていけます。
でも、人間として、それぞれ人生を生きる時。笑ってしまう映像は、感動する文章は、ワクワクする音楽は、やっぱり必要です。それは、人間が「不必要なこと」を必要とする生物だからだという結論に、最近至りました。
エンタメは、世の中で、最も不要なものであると同時に、最も必要なものです。そのことを、コロナ禍という、最悪の時代を経て、確認できた気がします。

ここで、自分のやりたい、「エンタメを届ける」というのが具体的にどういうことか書きたいと思います。
カンボジアを例に挙げます。首都・プノンペンの高層ビルに住む子どもは、絵本に映画、音楽にテレビ、毎日毎晩接することができます。
一方、高層ビル群に見下ろされたプノンペン市街のはずれには、スラム街が広がっているそうです。国内有数の金持ちが高層ビルに、特に生活に苦しむ人々がスラム街に、同じ街で、これ以上ないレベルの貧富の格差が存在するのがプノンペンという街です。

ここでの「貧富」の「貧」には、もはや個の努力では逆らえない部分があります。資本主義社会において、より頑張った方が、より成果を出した方が、より良い生活を送れるのは、確かに決まっていることです。
でもプノンペンでは、生まれた時から、高層ビルに住む人、と、スラム街に住む人、が分かりやすく決定されています。
そこで僕がやりたいのは、スラム街に住む子どもに、食べ物を調達することでも、お金を給付することでもなくて、一緒に絵本を読んだり、映画を見たりすること。

調べると、プノンペンのスラム街に衣食住の支援をする団体は、山ほどあります。国連の団体、いわゆる先進国からの協会。スラム街で暮らす人たちに、生きる上で最低限のことを助ける人たちは既にたくさんいるということです。

でもそこは、エンタメが圧倒的に足りていない場所です。
子どもに遊ばせるものがないお母さんの話や、「楽しいことがない」と犯罪を犯してしまったという男の子の話も耳にしました。

分かりやすく例をプノンペンにしましたが、これは当然日本でもあることだと思います。
映画や絵本に代表されるエンタメは、生きていく上で、絶対に必要なものではありません。
でも、映画を一緒に見て、絵本を一緒に読んで、結果、みんなで笑えたら、こんな素敵なことはないと思います。

これを仕事というか知りません。どこから金が出るかも知りません。多分、仕事じゃありません。でも今一番、やりたいことです。将来、自分がやっていたいな、と思えることです。

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