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悪しき習慣の代表格「日報」は使い方次第でめっちゃ良いツールになる

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本降りになりそうな小雨が街を覆った都内某日、くたびれたスーツに身を包んだ男が株式会社リチカのオフィスを睨んでいた。ほんの少し開かれた口元からは荒唐無稽な独り言が聞こえる。その中で唯一輪郭を残していたのは「日報」という言葉だった。男は、握りしめた傘を今にも振りかざしそうな形相でリチカのオフィスへと向かっていった。

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日報を憎む者
以前勤めていた会社で、終業後に毎日1時間ほどかけて日報を書かされていた。ハードな業務に加えて日報の記入を義務付けられていたため、残業を余儀なくされ、終電で家路につくことも日常茶飯事であった。ある日魔が差して日報の末文に上司の悪口を思いっきり書いたが、取り沙汰されなかったことで、日報が誰にも確認されていないことを知る。その後全て嫌になり、日報に退職する旨を書いて会社を去った。そんなこんなで、日報は森羅万象、全ての諸悪の根源であると信じ込んでいる。

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日報を憎む者 日報の件でお話があると連絡した者です。

中西 これはこれは。足元が悪い中すみません。どうぞこちらへ。

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中西 佑樹(なかにし ゆうき)
株式会社リチカ取締役。20代の頃「くるぶし」というフォークデュオを結成し、意欲的に活動していた。路上ライブでは100人以上の聴衆を集め、 “2本のギター 夢見るメジャー”という見出しで新聞に載ったりした。現在、中西が写る写真は社内でフリー素材として扱われている。

書き方次第で日報は社内の参考書やマニュアル代わりにもなる

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中西 あのう、今日はどういったご用件でしょうか?

日報を憎む者 どういったも、こういったもないですよ。日報なんていう淘汰されるべき悪習を社内に根付かせておいて、よくもそんな満面の笑みをたずさえていられますねえ。

中西 (薄々勘付いてはいたけど、ちゃんとやばい人だな)日報?ああ、リチカの取り組みを何かで見ていただいたんですね。

日報を憎む者 そうです。日報は多くの時間を奪うだけでなく、精神を蝕む悪しき文化であると、今日は私が直々に教えてあげにきたんですよ。

中西 なるほど。人によって価値観は異なりますもんね。そんな考え方もあると思うし、そうネガティブに機能してしまっている企業もあるかもしれません。

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日報を憎む者 はあ? 日報がポジティブに機能している企業がこの世にあるとでも言うんですか? そもそもね、業務外なのに無理やり日報を書かせるなんて、これってただの嫌がらせではないでしょうか? え?

中西 いえいえ、嫌がらせではありませんよ!それに強制しているわけではありません。これは社内のメンバーが自発的に始めたことなんです。なのでその振り上げた拳を下ろしてください。

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日報を憎む者 ふんっ(鼻笑)。じゃあどうせ自己満足で終わってるんでしょう? どうせ誰も見ていないだろうし。

中西 それが結構チームの役に立っているんですよ。というのも、この日報はその日の業務内容を記してるだけではないんです。

日報を憎む者 は?

中西 成功体験や失敗体験、またそこに至った理由や経緯などをSlackで共有しているんです。なので、昨日のメンバーの失敗が、今日は別のメンバーの成功に繋がっている、という現象も起こっているんですよ。

日報改め「積み記」を通して、リモートワーク中の対話が活発に

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日報を憎む者 え〜? 成功を自慢したい気持ちは分かりますが、己の失敗をあけすけに話すようなことはしないんじゃないですか〜?

中西 弊社リチカが大切にしているバリューの一つに「積み上げよう」という考え方があるんです。これは成功だけでなく、失敗も。

日報を憎む者 そんなの所詮、綺麗事でしょう?

中西 いえ。実際に失敗したとしても、「積み上げよう」というバリューを体現していることになるので咎められることはありません

日報を憎む者 ……。

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中西 あ、ちなみにこの「積み上げよう」にかけて、リチカでは日報を「積み記」と呼んでいるんですよ。「積み記」だったら、日報よりライトな気持ちで書けるし、なんかかわいいでしょ。

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日報を憎む者 はっ、しゃらくさい!

中西 わ! 片付けるの面倒くさい!

日報を憎む者 あとで一緒に片付けますよ! あのね、装いを変えたって日報が面倒くさい事実は変わりないんですよ! 理想論は結構ですが、実際問題、本当に役に立ってるんですか!?

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中西 落ち着いてください! 例えば一番最初に「積み記」の取り組みが始まったインサイドセールスのチームでは、お客さまに響いたトークを共有していました。それをチームのメンバーが実践したことで商談の確率が上がった、という事例もあったりします。

※インサイドセールスとは……見込み顧客に電話やEメールなどでコンタクトし、優先度の高い商談をとりつけてセールスに渡す担当者。

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日報を憎む者 そんなの直接言えばいい話でしょう。わざわざその「積み記」に書いておかなくてもいいじゃないですか?

中西 今って基本的にリモートワークなので、Slackがメインの事務所という感覚なんです。その中で「積み記」はSlackでのコミュニケーションを活発化してくれるんですよ。それに、業務が自宅だけで完結してしまうと、情報共有も滞ってしまう。それぞれが得た知識を「積み記」に記しておくことで、会社の知見として蓄積しておくことができるんです。それに加えて、リチカは最近入社したメンバーも多いので、「積み記」は実践で困ったときの参考書としても役立ったりしています。新人教育のツールとしても重宝していますね。なのでその振り上げた拳をそろそろ下ろしてください。

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日報を憎む者 聞いてもいないことを笑顔を絶やさずつらつらと……。でもまあ、社内のコミュニケーションとか、会社の知見とか、新人教育ツールとか、いかにも取締役の立場から発せられるポジショントークという感じですけどね!

中西 そしたら実際にメンバーから話を聞いてみましょうか。ちょっと待ってくださいね!

日報を憎む者 えっ。

他メンバーの「積み記」をチェック→自分の業務にリアルタイムで反映できる

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援護射撃を頼まれたセールスの細沼(左)と広報の岡本(右)

中西 「積み記」が具体的にどんな感じで役に立ってるか話してほしいんだよ。

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岡本 なるほど。例えば、私がホワイトペーパーを作成したと「積み記」に書いたのを見て、セールスのメンバーが「今度商談で使わせてください!」とリアクションしてくれたりしますね。

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岡本 さらに、そのメンバーが後日「積み記」に、クライアントのリアクションを書いてくれていたりするのでリアルタイムでブラッシュアップできたりもしています。

※ホワイトペーパーとは……企業のノウハウや調査結果、研究報告などの情報が掲載されたWeb上の資料。

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日報を憎む者 シチュエーションが限られた使い道ってことですよね。

細沼 いえ、それだけじゃありませんよ。

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細沼 それ以外にも、サービスを使ってくれているクライアントの要望や感想を、カスタマーサクセスのメンバーが「積み記」に書き、それを読んだプロダクト側のメンバーがサービスに反映する、ということもありますね。

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日報を憎む者 メンバー間同士でやりとりをしているのは分かりましたが、どうせそれを上司は見ていないですよ。

中西 いえいえ、「積み記」はマネージャー陣にも役立っているんです。というのも、「積み記」を読むとメンバーが業務に対してどれくらいの理解度で取り組んでいるのか把握することができるんですよね。そうすると、メンバーをどう支援すればいいか、具体策を練ることができる。ちなみに、タイトルに「HELP」を付けて質問を書けば、回答できるメンバーがコメントを残してくれたりもします。

岡本 特定のメンバーに回答してほしい場合は、メンションを付けることもできますしね。

日報を憎む者 ぐぬう。

ROM専がいても良い。「積み上げよう」を体現することが重要

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日報を憎む者 でも、でも、逆にそこまで活発化すると、「積み記」を書いていないメンバーの肩身が狭くなるんじゃないですか?

中西 あ、ROM専もいますよ。強制ではないのでね。そういうメンバーは他のシーンで「積み上げよう」を体現してくれればいいと思っています。

日報を憎む者 あっ、そう!

中西 でも、実際に僕も「積み記」をしてみたら、書くことで理解の解像度が上がる気がしました。だから、自分自身のトレーニングみたいな感覚で使うのもありだなとも思っています

日報を憎む者 取締役のあなたが書いていたら、そりゃあ他の方々も書かざるを得ないんじゃないですかねえ。

中西 いえいえ、僕は役員だけが入ったSlackの部屋でやってみたんです。役員がやってると焦っちゃうメンバーもいるかもしれないと思って。

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日報を憎む者 ……。強要してるわけでもないし、上司はちゃんと見ているし、社内で役立っているってこともわかりました。でも、強要されてるわけでもないのに「積み記」をしている人達に、ちゃんとご褒美を用意してるんですか?

中西 実は、誰がどれくらい「積み記」を残したか測定しているわけではないんです。

日報を憎む者 そんなの搾取じゃないですか!

中西 ただ弊社のバリュー「積み上げよう」など体現しているメンバーに高級ランチをご馳走する、というインナーキャンペーンは毎月実施していますよ。積み上げよう」以外にも大切にしているバリューはあるんですが、「積み記」も指標の一つにはなっていますね。

日報を憎む者 ……。

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中西 あなたも、前職では大変な思いをされたんですよね。でも日報、もとい「積み記」は、目的を定めれば、社内のコミュニケーションを円滑にしてくれたり、メンバーの悩みを解決してくれたり……。

日報を憎む者 もういいです!

中西 サービスを改善する手助けになったり、マネージメントに役立ったり、新人教育にも活用できたり……。

日報を憎む者 もういいってばあ。

中西 メンバーを評価する指標となったりもするんですよ。

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日報を許しかけている者 ……この会社ではそうみたいですね。

中西 出会う場所や時間が違えば、いい関係が築けたかもしれないですね。

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日報を許した者 そうかもしれませんね。今日はお時間いただき、ありがとうございました。なんだか、振り返るととんでもない暴言を吐いた気がしますが、おかげで気分はすっきりしています。

中西 それはよかったです。お気をつけて!

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中西 (今日このためだけに出社したんだよなあ)


※記事内で紹介している社内の取り組みは本当ですが、日報を憎む者はフィクションです。

(協力/おくりバント株式会社)

リチカでは仲間を募集しています

ご興味を持たれた方はぜひ下記をご参照ください。

中西さんのインタビューnoteはこちら▼


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