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【音楽遍歴】高校3年生のときの出来事①

はじめに

少し前に、高校3年生のときに購入したアルバムベストアルバムについての記事を書きましたが、今回から何回かに分けて、これらのアルバムに関連する出来事(ちょっと強引な回もありそうですが)を書いて行きます。今回は高校最後の体育祭に関する出来事です。

体育祭でのダンス

うちの高校の体育祭は、1年生から3年生までがチームを組んでチーム対抗で競技を競うのですが、その中にダンスのプログラムがあり、その音楽や振り付けは3年生が中心になって決めるという風習がありました。あるとき、僕が「それっぽい音楽に詳しい」という噂を聞きつけたダンスの検討チームのリーダーから相談があり、ダンスに合った音楽を探す手伝いをすることになりました。

最初のリクエストと選曲

最初のリクエストは2つ。1つは「あまり有名過ぎない」ことで、これは他のチームと被らないようにする&差別化をのための基本方針でした。もう1つは「カッコ良くて、アップテンポ」なことというGoogleで検索すると何十万件も出てきそうなザックリしたリクエスト。

なかなかのモワッとした要望でしたが、せっかく頼りにしてもらったということもあるので、手持ちのレコードリストの中から悩みに悩んで、(当時)最新だけど有名過ぎないものとして、The Art of Noiseの"Legs"、Bronski Beatの"Hit That Perfect Beat"、New Orderの"The Perfect Kiss"を選び、カセットテープに録音して渡しました。

追加のリクエストと選曲

リーダーはダンスの検討メンバーからも意見を聞いたようで、何日か経ってから「もう少しテンポが遅い曲も選んで欲しい」「少し短めの曲も探して欲しい」「明るめの曲もリストアップして欲しいという追加のリクエストがありました。

多少リクエストが具体的になったので、再度レコードリストとにらめっこして、今度はデビュー間もないErasureの"Heavely Action"とOrchestral Manouvres in The Darkの"If You Leave"を録音して渡しました。"If You Leave"はアメリカでもトップ10ヒットになっていたので、「あまりメジャーではない」という条件には該当しない気もしましたが、「そうは言っても、うちの学校ではそんなに有名でもないだろう」という持ち前のテキトーさで選んじゃいました。

最後のリクエストと選曲

しばらくして、リーダーが申し訳なさそうに、「チーム内で話し合っている内に、ちょっとコンセプトが変わってきたので、今までの路線と変わってしまうけど、懐かしい感じの曲はないだろうか」と言ってきました。「懐かしい感じ」を言葉通りに受け取ると、僕の持っているレコードリスト的にはThe BeatlesとかSimon & Garfunkel等になってしまう訳ですが、それだとあまりに面白くないので、ちょっと変化球気味ではありますが、The Style Councilが前年にリリースしたアルバム"Our Favourite Shop"に収録されている"The Lodgers"を選んで渡しました。

そして、結局・・・

最後のリクエストを受けた時から薄々気付いてはいましたが、紆余曲折の末にダンスの全体コンセプトが「60年代」になり、それに合わせて音楽もオールディーズっぽいものに決まりました。

色々と悩んだ末に出した候補が最終的に選ばれなかったのは残念でしたが、人のイメージに合わせて色々考えながら候補をリストアップする作業はとても楽しかった記憶があります。高校最後の体育祭という特別なシチュエーションが感情を補正した可能性はあるものの、より良いものを創るという目標を共有した上で、色々なアイデアや意見をぶつけ合った末の納得感のようなものを理解できたことが良い経験になったのだと思います。

おわりに

この音楽の選曲を通じて、それまであまり接点がなかったダンス検討チームのリーダーと仲良くなって、高校3年生の間も、大学に進学した後も、よくつるんで遊ぶようになりました。

そして、お互いが修飾して25年くらい経って開かれた同窓会で久々の再会。彼から突然、「あのときは色々悪かったな」と言われたので、「なんで、今になってそんなこと言うの?」と尋ねたら、「営業をしていると、契約直前で理不尽なことを言われたりすることも多いから」とポツリ。「俺は理不尽だなんて思ってなかったし、今も思ってないよ」と言ったら、彼は「そうか、良かった。気になってたんだ」と言っていました。

そして、「最初に聴かせてくれた曲、カッコ良くてあれに決まりかけたんだけど、テンポが速過ぎたんだよなあ。お前、あんな速い曲で踊れないだろ?」と言われて、僕も「そりゃ、そうか」とつぶやいて、2人で笑いました。

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