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【Live Report】 Alvvays@Zepp Shinjuku(2023年11月28日)

はじめに

意を決して25000円の席を申し込んだColdplayの先行予約はことごとく外れ、その後のCorneliusもチケットが取れなかったので、2023年最初で最後、そして四捨五入して50歳代に収まる最後のライブはAlvvaysでした。

この日はMorrisseyInterpolのライブもあり、80年代にThe Smithsをリアルタイムで聞き、00年代にInterpolの暗闇に溺れた身にとって、踏み絵を踏まされている感爆発ですが、迷うことなく一番「今」を感じさせてくれそうなAlvvaysを選びました。とは言え、この日程、もうちょっと何とかならなかったんだろうか。今年はライブ運がなかったということか。

ライブレポート

「新宿に来たのなんて、いつぶりだろう」そんなことを考えながら、JR新宿駅からZepp Shinjukuのある歌舞伎町方面へフラフラと向かいました。時間は18時くらいだけど、11月下旬にもなるとこの時間にはあたりはすっかり暗くなっていて、リモートワークで感じる機会が少なくなった季節感を味わいながら歩きました。

関西に住んでいたときには、心斎橋クラブクアトロやBIG CATでライブを見た後に必ず通っていた「どうとんぼり神座」で軽く食事を取った後、コスプレお姉さんの並ぶ歩道を歩いて会場へ。街全体に漂うカオス感が、とても新宿っぽい感じ。

この日のチケットはソールドアウトということもあって、18時40分頃に会場に着いたときは比較的空いていた会場も、開演時刻が近づくにつれてスペースが減っていきました。ただ、僕が陣取った後方は隣の人との間にスペースもあって、一段高くなっていてステージが見やすかったです。BGMにOrchestral Manouvres in The Darkの"Souvenir"が流れ、定刻を少し過ぎた19時10分にステージ後方のスクリーンにAlvvaysの文字が映し出され、照明が落ちてメンバー登場です。

ライブ開始直前のステージ全景

ライブは最新アルバム"Blue Rev"のリードトラックでもある"Pharmacist"でスタート。まず驚いたのは、会場の音の良さ。個々の楽器のサウンドの輪郭がクッキリとしていて、ライブ感が高くて、イキイキとしています。さらに、曲全体としても、繊細な場面ではボーカルの息遣いが伝わってくるし、ダイナミックな場面ではギターやドラムスがまとまって迫ってくるようで、これまでに見たライブの中でも格段に音が良いと感じました。また、ステージ後方の全面スクリーンの映像も没入感が高く、撮影したステージ映像にリアルタイムでエフェクトを掛けたものを投影するなど、最新鋭のハードウェアの魅力も充分です。

肝心のライブですが、「ドリームポップ色が濃いのかな」という思い込みを良い意味で裏切り、ゴリゴリしたオルタナティブ感が強めのドリームポップといった感じでした。彼らの持ち味である直感的なメロディに、これら両方の要素を絶妙なバランスで融合した楽曲群は、ライブとは思えない程の完成度の高さです。

特筆すべきは、Molly Rankinのボーカルで、時に優しく繊細で、時に力強く艶やかで、曲のテイストに完璧に最適化された歌声は素晴らしく、途中で何度か沸き起こってきたマンネリ感も彼女のボーカルが見事に払拭してくれました。

余分な脚色はなく、自分達の音楽を誠実に表現したライブはちょっと短めの1時間10分で終了。シングアロングが起こるような爆発的な盛り上がりこそなかったけれど、それぞれのオーディエンスが楽しげに音楽を浴びて、身体を揺らしていたのが印象的なライブでした。

アンコール終了直後の会場

彼らの最新アルバム"Blue Rev"は2023年ベストアルバムにも選んだくらい好きだっただけに、「もう少し早いタイミングで見たかったな」と思っていたものの、最新のハードウェアの助けを借りて、絶品の素材を最高の表現力で提示したライブはそんな杞憂を木っ端みじんにしてくれました。今を感じさせつつ、時流に乗っただけではない強靱さを持つAlvvays。今後も注目していきたいと思います。

セットリスト

  1. Phamacist

  2. After The Earthquake

  3. In Undertow

  4. Many Mirrors

  5. Very Online Guy

  6. Adult Diversion

  7. Not My Baby

  8. Hey

  9. Tom Verlaine

  10. Belinda Says

  11. Bored in Bristol

  12. Fourth Figure

  13. Archie, Marry Me

  14. Pomeranian Spinister

  15. Next of Kin

  16. Tile by Tile

  17. Pressed

  18. Dreams Tonite

  19. Easy on Your Own?

Encore

  1. Velveteen

  2. Ones Who Love You

  3. Lottery Noises

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