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【Live Report】 Wilco@Zepp Haneda(2024年3月7日)

はじめに

初めてWilcoのライブを見たのは、2003年2月に開催された冬フェスMagic Rock Out。このフェスについては、いずれ『2003年に行ったライブ』に書こうと思いますが、ヘッドライナーがFoo Fightersで、その前に"Yankee Hotel Foxtrot"をリリースしたタイミングでのWilcoが登場しました。ほとんどがFoo Fighters待ちのオーディエンスというアウェイな状況ということもあって、オーディエンスの反応は低調でしたが、素晴らしいライブを見せてくれました。

2回目は関東への転勤で引っ越しする直前、2010年のBIG CATでのライブでした。この日はJeff Tweedyが"Jesus, Etc."の前のMCで「次の曲はいつもみんなに歌ってもらってるんだ(意訳)」的なことを言うと、オーディエンスから(当時、オバマ大統領のキーフレーズでもあった)"Yes We Can"という声が挙がり、Jeffが笑いながら"Yes We Can, Yes We Can"と言う場面があったりと、緩く暖かな雰囲気ながらもやはり超絶凄いライブを見せてくれました。その後、彼らへの熱も少し冷める中、ライブからも遠ざかっていましたが、最新作が久々に気に入ったとライブ当日が誕生日ということもあり、チケットを取ることにしました。

ライブレポート

会場は自宅から電車で1時間半程度だけど、乗換回数が多いZepp Haneda。「ライブが終わってから電車で帰るの面倒だなあ」ということで、車で行くことが決定。Google Mapで調べたら50分〜1時間20分程度かかるらしいので、17時15分に自宅を出発。ところが、道がメチャクチャ空いていて、Haneda Innovation Cityの駐車場に着いたのは17時55分。会場が18時で整理番号が1000番台なので、ちょっと早く着き過ぎてしまいました。

18時20分頃に入場。600円のQooを受け取り、フロアへ入場。PAブースの前くらいまでは人が詰まっていましたが、後方は余裕があったので迷わず後方の見やすそうなところに陣取りました。客層は自分と同年代の人が多く、周りの人の平均だと40歳を超えていたような気がします。

18時半ちょうどにオープニングアクトのFinomが登場。女性2人に加えて、Jeff Tweedyの息子Spencer Tweedyがドラムスでサポート。美しいハーモニーを聴かせたかと思うと、ノイズを含んだギターを聴かせたり、不思議な掛け合いのコーラスを交えたりと、浮遊感のあるオルタナティブロックを奏でていました。良い感じだったけど、ライブを見た後に音源を聴くと物足りなく感じそうな気もします。

19時ちょうどにFinomが終了し、30分のインターバルを挟んで、19時半ちょうどにWilcoのメンバーが登場。ライブは"Hell Is Chrome"~"Handshake Drugs"というまさかの"A Ghost Is Born"からの2曲でスタート。やや緩めに、まるで様子を見るかのように始まった中で、時折挟まれるギュインギュインするノイズギターが何ともWilcoっぽくて思わずニヤリ。

Wilcoの本領は間違いなくライブで、繊細な曲は息遣いの変化が伝わってくるほどに繊細、パワフルな曲は全ての楽器が一体になって包み込んでくるほどにパワフル。メンバーの演奏力に加えて、音の良さもハイレベルで、CDと比べると数段階レベルが高く感じられ、その表現力も驚くほど豊か。

今回のツアーは時期的にも最新アルバム"Cousin"のサポートツアーのはずだと思いますが、"Cousin"からは2曲しか演奏されず、"Yankee Hotel Foxtrot"と"A Ghost Is Born"から多めのセットリスト。やや複雑な構成の曲が続く中で挟まれた"Random Name Generator"でのギターの掛け合いや”Box Full of Letters"のシンプルなポップさも楽しく、"Jesus, Etc."や"Heavy Metal Drummer"等の代表曲を含めて、彼らの引き出しの多さを改めて実感できました。

21時過ぎに本編が一旦終了し、5分弱のインターバルを挟んでアンコール開始。アンコールはBilly Braggとの共演作"California Stars"で緩めにスタートしたものの、2ndアルバム"Be There"から3曲連続で演奏し、徐々にロックンロールモードへシフト。序盤から貯めてきたものを一気に放出するようなストレートなロックの連続に、オーディエンス、そしてメンバーもテンション上昇。ラストは変化球気味ながらもドライブ感溢れるギターのフレーズが超絶カッコ良い"I'm A Wheel"で締め。天井から吊された紐がギターに絡まるハプニングがありましたが、会場からの大きな拍手に送られて、21時半にメンバーは笑顔で退場。

演奏力の高さに裏打ちされたカントリー、ロック、ポストロック等への変幻自在の対応力、そしてそれでいて肩肘張ることない余裕を見せたパフォーマンスは見事。メンバーもオーディエンスも笑顔が絶えなかった2時間は妥協のないプロフェッショナルさとハートウォーミングな感覚が共存する素敵な時間でした。知らない人は聴く機会がない類の音楽ですが、初めて聴いた人を惹きつける魅力を持っていると思うので、是非フェスティバルのメインステージに出演して、少しでも多くの人の耳に届いたらなと思います。

セットリスト

  1. Hell Is Chrome

  2. Handshake Drugs

  3. Pittsburge

  4. I Am My Mothers

  5. Cruel Country

  6. I Am Trying to Break Your Heart

  7. Kamera

  8. Side with the Seeds

  9. Random Name Generator

  10. At Least That's What You Said

  11. Hummingbird

  12. Evicted

  13. Box Full of Letters

  14. Jesus, Etc.

  15. Impossible Germany

  16. Love Is Everywhere (Bewware)

  17. Theologians

  18. I'm the Man Who Loves You

  19. Heavy Metal Drummer

  20. A Shot in the Arm

Encore

  1. California Stars

  2. Red-Eyed and Blue

  3. I Got You (At the End of the Century)

  4. Outta Mind (Outta Sight)

  5. I'm a Wheel

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