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トム・カレンのブラックビューティー

大波用ボードの有用性について書こうと思ったけれど、どんな波にどんなボードで行くのかというのは完全に個人の自由なので、有用性をわざわざ書くのは不粋な気がしてきた。だからそれを書くのはやめて、僕の大波用ボードとその乗り味について書こうと思う。

多分、僕が子供の頃に衛星放送が始まったと思う。
(調べたら89年ということだ。)
僕の父親は、昭和のおじさんの典型で新しい家電が好きだった。だから我が家にはいち早く衛星放送が導入された。
初期の衛星放送はとても刺激的だった。僕の心を捉えたのはモータースポーツとサーフィン。モータースポーツの方はスーパークロスやWGPが見られたし、ラリーやパリダカも見れたような気がする。
サーフィンの番組は「サーファーマガジン」というのがあった。それには若き日のシェーン・ドリアンやテイラー・ノックスが出ていた。そしてトム・カレンも。

まだサーフィンのサの字も知らなかったが、僕はトム・カレンのサーフィンに魅了された。大人になって自由になったら絶対にサーフィンをするぞ、と録画したビデオを繰り返し見ていた。
そういう経緯があるので、僕のアイドルはトム・カレンだ。
僕の世代では珍しいと思う。(大体はケリーかアンディだよね。)

そういう訳で僕の大波用のボードはブラックビューティー。
トム・カレンのシグネーチャーモデルだ。チャネルアイランドのモデル説明では、フルレールでVEEボトムが特徴、と書かれていたように記憶している。でも実際はそれほどレールは厚くないし、ボトムは平板なVEEではなくダブルコンケーブに近い。スパイラルVEEだ。
カテゴリー的にはステップアップ(大波用)に属する。
僕の印象としてはショートとセミガンの間という感じ。長くて幅は狭い。

ブラックビューティーはトムカレンがベルズビーチでの試合に挑むために作られたモデル、ということになっている。僕はベルズで入ったことが無いので波質については知る由も無い。本や映像で知る限りではベルズというポイントはアウトからインサイドにかけて極上の波が割れるリーフブレイク。
だからブラックビューティーは日本のビーチには合わないんじゃないか、と思われそうだが実際はそんなことはない。ビーチでも面が張っている波であれば胸くらいから調子がいい。
大波用として長目に作ってもテール幅が狭いので動作は意外にクイック。面が硬い波であればちょうどいい反発が得られる。
このボードでは軽いサーフィンはできないから、必然的にレールを引きずるサーフィンになる。それが楽しい。

僕はこのボードを40歳になった頃に作った。
サーフィンを始めた頃から、いつかは…..!  ※1
と思い続けてきたけれど、でも「いざニューボード!」となると、いつも最新のモデルの誘惑に勝てずに中年になってしまっていた。
せっかくの憧れのボードなんだから、まだ体の動く体力のある内に堪能しないと意味がない。それを解ってはいたけど90年代初頭に開発されたモデルがどの程度機能するのか、という不安もあった。
結果的には作って良かったと思っている。想像以上に自分のサーフィンを改善してくれたし、それによってモチベーションも上がった。

もし誰かブラックビューティーをオーダーするなら、昔ながらのサイジングで「長く狭く厚く」頼むと良いと思う。僕のやつもそうだから。ちなみに僕のブラックビューティーはシグネーチャーカラーであるブラックバンドじゃない。さすがに照れ臭くて僕には無理だったなあ。

※1 正確にはチャネルアイランドのラインナップにブラックビューティーが登場したのは僕がサーフィンを始めて4年くらい経った頃だったかなぁ?それはレッドの方だっけ?





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