カウンターが機能しているラーメン屋さんが好きだ。

今月から遅い時間の勤務になった。8時きっかしに仕事を終えて、帰途いろいろ考えごとは尽きない。

 それでも今日の晩ご飯はラーメンだ!と思った。茶色い醤油のスープ、細い麺のことを考えた。浅草寺で常香炉の煙を浴びるくらいの欲求で、麺を茹でる湯気を浴びたくなった。地図で探して、職場と家のちょうど真ん中の街のラーメン屋に行った。

 近くに大学があるため、学生と思しきお客さんがちらほらいる客席を目指すべく食券を買った。水を持ってくるのも忘れてデイリーポータルの記事を読んでいたところ。ちょうど目線の下のカウンターからどんぶりが出てきた。

「醤油大盛りです!」

おー、当たりだ。そう思った。

私が考える良いラーメン屋さんの定義は、カウンター席がカウンターの機能を果たしていることである。

建築構造上ひとり客のためのカウンター席はあるが、食券を置いたり、ただ厨房の物見櫓の役割しか果たしていないラーメン屋さんがこの世の中には存在する。

 一方今日たまたま寄ったラーメン屋さんはカウンター越しにラーメンを渡してくれて、隣のお客さんは食べ終わったどんぶりをカウンターに乗せて帰った。「ごっそーさーん」

以前一度おとずれたあるラーメン屋さんは、お客さんが食べ終わったどんぶりをカウンターから片付け、さらにカウンターから身を乗り出してカウンターテーブルをふきんでふいていた。尊敬に値すると思った。おそらくおもてなしの精神から語れば、カウンター越しでやり取りするのはあまり丁寧ではないのだろう。きちんとお客側にまわるべき論があるのかもしれない。しかしオペレーションの視点でいけば、カウンターをもっと生かして欲しいと願っている。

最後の晩餐はラーメンがいいなと思う桃の節句だった。



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