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A席とC席の間から

 新幹線の3人がけの席の間で、これを書いている。
 両隣は友人二人だ。片っぽは趣味を共有する友達で片っぽは15年来の同級生だ。
 気温の上昇が止まらない暑さと雷が鳴り止まない豪雨を潜り抜けて、一日中歩いた。休みだった。
 夕にみんなでつついた中華がおなかの中で温かい。やま道を登っては下って疲れ果てた足を投げ出したシートと新幹線の冷房が心地よくふわふわの座席のクッションに頭をあずけている。

 両隣を人にはさまれていて、しかも信頼していて気のおけない友人で快さが突き抜けている。自分はハムで一等のパンにはさまれたディーンアンドデルーカのサンドイッチなのではと錯覚する。

 過去の後悔と先の不安とをいっさい考える必要がないというのがハレの日で旅行だ。ぼんやりとしたイメージで、将来自分はこうしてA席とC席の間のシートに身体をうずめて、両脇を固めてくれる人を探して、特急券の精算をして、次に出かける旅行を計画するように、つつまれて暮らしていけたらよいな。そういうイメージを受け取れた、今日はいい1日だった。明日からもそうだといい。

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