見出し画像

 まだ対面が制限されてなかった頃、月に一度開催されていた催しは今春、見送っていたそうだった。しかし主宰の方から「元気にやってる?」というメッセージをいただいた。この膿みよどんだ春について語りたい!質問したい!という気持ちになりテレビ電話を繋いで、話そうと快く言ってくださった。それで新潟のルームメイトたちも寄り合いに寄り合い、そもそもの催しの男衆もビルの3階で膝を突き合わせた。そう、田舎だと〜衆というのである。食べ物を持ち寄って、紙コップと紙皿、お酒を何本か。そして自分もオンライン会議アプリ経由で会に加えてもらった。
 主宰の方が、企画したかった行事がことごとく開催見合わせないし中止せざるを得なかったようでかなり心配だった。が、そこから時間が経過してまた人間が一部屋に集まっても、社会的制裁を受けるでもなくなった。だからイベント開催ができて、リモート参加が叶うようになった。

 画面の向こうのご馳走の宅を見ていても、それを私が食べられないからというわけではないが、少しずつ擦り減っていくものがあった。直接会ってしまえば気にならない可能性もある。が、なんとなく、人々が空虚を携えてその場にいるというべきか。男衆のうち二人はこの期間中に父親になっていたので、その責任感も一緒に持ち合わせて来ていたのかもしれない。だから、感染症のリスクと隣り合わせではビフォア・コロナと同じ生活様式をなぞることは憚られたのだろうか。
 けれどすごく安心した。テレビ会議を繋いだ宴で盛り上がってカラオケに行こうよと口々に言い合いそうして場を離れて行ったからだ。

 私もカラオケに連れてってもらいたかった。パソコンにzoomを携えて。ミュートを解除し、ビデオを表示させて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?