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イギリス、BREXITの実態


イギリスのEUからの離脱交渉が進む中、先日現地のテレビで興味深いドラマが放送された。BREXITの影の立役者のドミニク・カミングスが、どのようにEU離脱派多数という国民投票結果へ導いたかを物語る、Brexit: The Uncivil Warというノンフィクションドラマ。破天荒なキャラクターとして描かれる政治アドバイザー・戦略家のカミングス氏は、個人的な賛成・反対の意見に関係なく、ただ離脱派多数という投票結果を得る目的のためだけに雇われ、その秀逸な戦略で見事に役目を果たす。私は政治の専門家でもないのであまりはっきりとは言えないが、ドラマを見る限り、戦略はこう:ソーシャルメディアのアルゴリズムでターゲットを低所得者層などに絞り、EUに加盟している事で移民に職を奪われ、イギリスの国民健康保険(NHS)の予算が削られていると不安を煽る。つまり、都合の良い一部の情報だけを切り取り、それがあたかも絶対的な事実かのように打ち出して、国民の意見を操作したとも捉えられる。

「離脱すれば、EUに毎週払っている3億5千万ポンドがNHSに還元される」という宣伝文句も、実際には根拠がなく、「あくまでも見積もり」だったと、離脱派のボリス・ジョンソンは2018年のインタビューで語っている。

このドラマで一番秀逸だと思ったのが、"take back control"というブレグジット派のスローガン。take controlだけだと「主導権を握ろう」だが、"back" が入ると、「主導権を取り戻せ」となり、イギリスが抱えている問題はEUに主導権が奪われているせいだ、という潜在的なメッセージが加わるのだ。

そんなこんなでブレグジットはまるで裏で操られた茶番劇。このキャンペーン自体が、自己主張が強く独特の愛国心を持つイギリス人の国民性を物語っているとも言える。離脱交渉や今後の影響なども、一筋縄ではいかないだろう。

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