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「#保育園落ちた」を根本的に解決するにはー子育てもサステナブルに。

こんにちは。
88PROJECT(ハハプロジェクト)代表の林理永です。

保育園の通知の時期ですね。Twitterでは「#保育園落ちた」のハッシュタグが、毎年恒例のようにトレンド入りしています。そこに書いてあるのは、落ちた方々の絶望の叫び...。

保育園落ちて仕事復帰できない、会社を辞めざるを得ない、政府への怒り、#無償化より全入 ...。
「待機児童」と一括りで言われても、そこには、各家族の生活があり、一人ひとりの人生がある。

本来ポジティブで幸せなはずの子どもを産み育てることが、そして同時に自分自身の人生を歩むことが、こんなにも難しいことなのかと、心が痛みます。

「#保育園落ちた」でも絶望ではない...を目指して。

私自身はというと、保育園に入るための行政の制度にどうしても納得がいかず、「保活をしない」道を選びました。

納得できない理由は色々とありますが、何よりも、落ちた人が、会ったこともない受かった人を恨むことになったり、大切な我が子にまでネガティブな気持ちを抱かなければならない状況が生まれることに、違和感を感じていました。

で、娘が1歳3ヶ月になった今。
私は今年も保活をせずに、実験的に子連れで仕事をしています。
その体験記は、今後そういう働き方をしたい人のために、また今度書き溜めるとして...。

今回は「#保育園落ちた」を根本的に解決するにはどうしたら良いか?について、書いてみたいと思います。これは、あくまでも今のところの私見として、お読みいただけると嬉しいです。


「サービス」としての保育システムの限界

待機児童問題に対して「行政は何もしていない!」と思われがちですが、実際には、認可保育園の数は年々増えているし、家賃補助など保育士への待遇も改善されてきてはいます。
また、企業主導型保育園に補助金が出るようになったりもして、認可外保育園も増えてきています。

でも、まだまだ足りないという声や「#無償化より全入」のハッシュタグが数多く見られ、保育園に落ちた人が後を絶たない。
これはどうも、需要数に対して供給数が追いつく目処は立たないのではないか、と思うわけです。

そして保育士自身もまた、自身の子どもを産み育てる時には、同じく待機児童問題に直面します。そのために職場からのプレッシャーもある。
これでは「お給料が高いこと」は復帰理由なりません。むしろ預ける側と同じ悩みを抱えていることになります。

そうなると、「#保育園落ちた」を根本的に解決するための方法として、保育士の給料をものすごく上げて、保育園を増設しまくれば万事解決!とはいかない気がするのです。


そして、なんとかして供給数が増えていった先にも新たな問題が浮上するのでは、とも思っています。

例えば、これから保育園や保育士の供給数を、カンフル剤的に一時的にものすごく高くしていったとします。
認可保育園では間に合わないので、企業がどんどん参入していきます。
極端なことをいえば、今は需要数が圧倒的に高いので、どんな施設でも開設してしまえば、儲かる。

空間や人員は確保できるかもしれません。
でも... そこに必ずしも愛はあるのでしょうか?
(もちろん、保育園自体をすべて否定するわけではありません!愛を持って子どもと接してくださっている保育士さんたちがたくさんいることも知っています。)

つまり、本来は社会としての「インフラ」であるべき”子育て”を、供給する人員が必ずしも必要な「サービス」のようにして提供していること自体に限界があると思うのです。

上記の図は、今の状況。
※11,820,000世帯 という数字は、2015年時点の子育て世帯数。

矢印がすべて一方的で断絶的です。
大まかにいうと、大人は企業に集まり、子どもは保育園に集まる。
これを、サステナブルに循環するような仕組みに、根本的に変えていく必要があると思うのです。

変えるべきは、仕事復帰の方法が「保育園(またはベビーシッター)に預ける」一択という状況。何度も言いますが、保育園も選択肢として、とてもいい。子育てしていると、保育士さんのすごさを痛感することばかり。
だけど、保育園以外の選択肢も用意する必要があり、そのためには、企業も、社会も、意識を変える必要があると思うのです。


子育てもサステナブルに。

(※Ryusuke Miyashitaさんが以前noteで、88PROJECTについて書いてくださいました。  その時のタイトル「子育てもサステナブルに」が、私自身もキーワードにしたことがなかったのですが、このプロジェクトを表す言葉として、とてもしっくり来ているので、ここで使わせていただきます^^)

”子育て”を「サービス」ではなく、社会全体が参加する「インフラ」として整えるには。

これは、子育て世代が自由に選べる選択肢の1つとして、家庭/企業/子育ての場 の3つが、うまく循環するような仕組みの一案です。

これは、
・仕事をするためには、企業に行かなくてはいけない/子どもとは違う場所へ行かなくてはいけない
・保育は保育士のみが行わなくてはいけない
という常識を度外視した図です。

ここで想定しているのは、託児付きシェアオフィスとも少し違って、保育士に完全に預けるスタイルではなく「共同保育」のスタイル。
保育のプロの監修は必要だと思いますが、基本的には”お母さん”たちが、交代で保育を担当します。

そうすることで、保育の人員確保の問題は解決。
保育を提供する側とされる側の垣根が無くなり、「みんなでみんなの子どもを育てる」環境が実現します。

ここで働く場合は、例えば、
基本時間 11〜16時の5時間で、
月〜木は、隣のキッズスペース(お母さんたちが交代で保育)に子どもを預けてリモートワーク。
金曜日は  キッズスペース担当、といった具合。

もちろん、上記はほんの一例で、もっと休みが多くてもいいかもしれません。もっと自由でもいいかもしれません。

そして、ここは「働く」目的だけではなく、同じくらい大切な「休む」や「好きなことをする」も気軽に実現できる場所にもなると思っています。
(子どもを持つと、この3つって、びっくりするほど実現困難ですよね...)

日本中のお母さんたちが、同じ悩みを抱えている。同じ問題意識を持っている。だったら、みんなで協力すれば、解決するのでは?

これが「#保育園落ちた」を根本的に解決する1つの方法になるのではないか。
そう思って始めた「88PROJECT(ハハプロジェクト)」です。

もちろん、これまでの仕組みをガラリと変えようとしているため、いろいろ問題はあります。
安全性は? ルールは? 信用は? 教育は?
今は、これらの問題を「どうしたら解決できるか」を、実際に運営しながら探っている最中です。

そして有難いことに、同じ思いを持つ子育て世代の方々を始め、弁護士、建築士、児童福祉司、モンテッソーリ教師、保育士など、プロの方々も賛同してプロジェクトメンバーとして、どんどん参加してくださっています。

そして、その実験場所として最初に使用させていただけることになったのは、かつて地域のハブ的存在だった「お寺」。

もしも、「お寺」が子育て世代の集まるハブになったら。
もしも、「お寺」が気軽に通える心の拠り所になったら。
もしも、「お寺」が新しい働き方の拠点になったら。
素敵だなぁ、と私は思っています。

もちろん、この仕組みが整えば、これは特定の場所でなくとも成立します。
全国のお寺や、空家でもいいし、使用されていないスペースでもいい。

近い将来、この新しい環境を全国に整備したいと思っています。



#子育てに第3の選択肢を

88PROJECTに限らず、「#保育園落ちた」を根本的に解決するには、子育てをサステナブルに循環させる、新しい仕組みが必要なのではないでしょうか。

子育てにまつわる全てのことが、ポジティブに循環する社会を目指して。

#保育園落ちた
#子育て
#母

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