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ランジェリーを好きな理由


ランジェリーが好きなのと同じくらい、小説と映画と写真も好きだと思う。

特に若い時の写真へののめり込み方はひどくて、時間はもちろんのこと、お金も国産車一台分くらいはカメラにつぎ込んだし、それ以上に暗室代や薬品代が高価だった。
写真集もたくさん持っている。

好きが高じて、今はパリとニューヨークの写真集専門の書店と出版社から輸入をしている。
大した量は輸入できないから、今はほとんど赤字で、ECサイトにも出していない。けれど、自分が買い付けた写真集を欲しいと言ってくれる人がいるのは嬉しい。

前職は革の鞄と小物のデザイナーだったので、「全然違いますね!」と言われることが多い。

鞄と小物のデザインの仕事は、イコール機能を考えるとも言えるくらい、機能性が重視される。
特に私が勤めていたメーカーはシンプル、ミニマルというコンセプトで商品を作っていたので、シンプルなデザインの中にいかにうまく機能を落とし込めるかということを考える時間が長かった。

前職を選んだ時に惹かれたのは、素材だった。
ほとんど全ての商品が内側まで豚の軽いスエードで作られていたし、ファスナーはそれまで見たどんなバッグのものより美しいメッキだった。
入社して最初のサンプルセールで手に入れた鞄に使われていた子牛の革は、驚くほど滑らかな手触りだった。

今は、機能性よりもデザイン性を重視したランジェリーを選んでいる。
それが”下着”ではなく、”ランジェリー”をやる意味なのだと、思っている。
洗濯機に入れてしまえば裂ける繊細なレースも、寒い日にお湯で洗えないシルクも、デザインのため。

大学入試の小論文に書き、面接で話したこと。
「一生大事にされるようなものをつくりたい」
それは数十年もつ耐久性のあるものをつくりたいという意味ではなく、壊れたり失くした後も、思い出されるようなものをつくりたい、ということだった。

私が大学に入学した2008年はファストファッションが一般化し始めた頃で、流行のアイテムを気安く買って気安く手放すことが普通になり始めていた。
でも、そんなことは関係なかった。
心を掴んで離さないような、それだけは”特別”だと思われるようなものだけは絶対になくならないと、その時も今も信じている。

ランジェリーを選んでよかった。ランジェリーはストーリーのあるプロダクトだと思う。ランジェリーがあるだけで、そこに感情が生まれる。


仕事にはならないと思った写真も映画も後からついてきた。

「あなたの特別でありたい」

それだけ。

九冨 里絵(くとみ りえ)

■Tiger Lily Tokyoについて
『Tiger Lily Tokyo』(タイガーリリートーキョー)は現代を強く生きる美しい女性をイメージしたクローゼット。
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■九冨 里絵(くとみ りえ)について
Lily Trading Co.,Ltd. Founder / CEO
1989年兵庫県神戸市生まれ。美大卒業後、イタリア製アパレルメーカーの企画職を経て、2017年にLily Trading Co.,Ltd.を設立。
パリ、ロンドン、ニューヨークを中心に世界中から買い付けたランジェリーを販売するTiger Lily Tokyoを運営。
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