仮タイトル)後半戦再開ー金子弌大と振り返る前半戦。ファイターズ は、チヒロとともに優勝します宣言!

文春オンラインー文春野球フレッシュ・オールスター応募落選作発表 その2

金子弌大が、マウンドに沈んだ。6月15日、交流戦読売巨人軍との第二戦、札幌ドームのことである。プロ野球人生最短3回5失点ノックアウト。4万を超えるフルパックの野球場の真ん中で、なすすべもなく打ち込まれる気持ちって、どんなだろうー。ぼんやりとテレビ画面を見つめながら、時は遡る。

「死ぬほど欲しかった」と栗山英樹監督は語った。
オリックス・バファローズの大エース、金子千尋ー改め弌大(ややこしいので以下チヒロ)が、北海道日本ハムファイターズ に移籍。

ー「チヒロがどこでプレーしたいとかは、とりあえずいい。俺はチヒロと一緒にやりたい。一緒にやろう」。今思い返しても、心に響いてくる言葉だ。あまりに突然のことだったし、ほとんど話したこともなかった。「チヒロ」と名前で呼ばれたことにまず、驚いたー(4/19 スポーツ報知 金子弌大独占手記より抜粋)

オリックス自由契約の報道を見た時から、絶対に絶対にファイターズ に獲ってもらいたいと願い続けてきたわたしは、飛び上がるほど喜んだ!やっぱしわかってるわ〜栗山監督&吉村GM様。

近年は、肘の手術など故障もあり成績は振るわなかったけれど。体調さえ戻れば、経験豊かな彼は、きっとやってくれる。実際、キャンプからオープン戦、期待に応えるーいや期待以上の結果を出していた。しなやかなフォームから、ぴしぴしと左右上下コーナーに決まるストレート、どれでもストライクが取れると評判の七色の変化球。3月17日、東京ドームでのメジャーリーグ親善試合、開幕直前でリアルに強いアスレチックス打線をもキリキリ舞いさせたくらいに。

表情も生き生きと輝き、オリ時代から「キレイ系エース」と謳われた美貌にも磨きがかかる。いやーもうまじですか?本当にこんなに素敵なエースが、わたしたちの”ちーちゃん”になっちゃっていいんですね?野球の神様ありがとう!感謝の気持ちで一杯だった。

そのようにして、待ちに待った開幕第二戦。敢えて前所属オリックスとの対戦に当てられた金子チヒロは、5回2失点。まずまずの内容だった。試合は4−4の延長引き分け。追いついてくれたチームに、ベンチから嬉しそうに声援を送る笑顔がこぼれていた。

ー先発とリリーフ。どっちをやりたいかと聞かれればリリーフと答える。もともと、先発を希望したことは一度もない。(中略)敗戦処理という言葉は好きではないけど、勢いがついた相手を抑えて流れを引き戻す仕事も絶対に必要。チームに求められるならどんな仕事でもやる覚悟だ。自分を評価してほしいとは思わないけど、そういう投手の評価を自分がつくっていければ、という思いもあるー(上記、同独占手記より抜粋)

以降、この言葉のとおりに、中継ぎ、オープナー・ショートスターター、勝ち試合も負け試合も投げる七色の登板ぶりで、新たな金子チヒロ像、ひいては新たな野球のスタイルを体現する試みに、果敢に挑戦することになる。

うまくいく時もあれば、ダメな時もあった。評価は難しい。ちーちゃん本人も戸惑っているような顔も見えた。周囲は、当然なんだかんだとやかましかった。
「彼は、生粋の先発投手なんですからっ」野球解説者の岩本勉氏ーがんちゃんは、必死なくらいそう言って擁護してくれていた。そもそも先発しかやってなかったんだから慣れないことを無理にさせるなよ。と。生粋かどうかはともかく、がんちゃんの考えは、わかる。

でも、一人のファンの気持ちとしては、35歳のベテラン投手にして体験したことのない体験に飛び込み続ける金子チヒロを、支持したかった。
理想は、1995年15勝27セーブを挙げた平井正史投手だという。憧れの平井さんのようには無理としても、10勝20ホールドは、ありかもしれない。あるいはショートスターターと中継ぎを繰り返して、まさかの50試合登板とか。このやり方で投手の規定回数に到達しちゃうとか。もしも何事かを達成できたとしたら、金子チヒロは、これまでのプロ野球に全くなかった方法での主戦投手になる。誰も見たことのない、シン・エースになれるんだ。

そういう夢(妄想なのか、栗山監督も大好きな)を抱いて、見つめ続けていた2ヶ月間…だったのだけれど。6月、交流戦を迎え現実路線に軌道修正された金子チヒロのポジションは、先発ローテション。甲子園でタイガースに勝ち、札幌ドームで巨人に負けた。がんちゃんの言うとおり、それが本来の姿なのかもしれない。(本人は、ぶれずに「中継ぎがやりたい。先発がやりたかったわけでもない。もっといろんな場面で投げたい」と地元テレビのインタビューでも答えてますが…6/18現在の朝)

でも、だからと言って、この2ヶ月の試みが、全くの無駄だったなんてことにはならない。新しいチームで、誰も歩んだことのない道を歩んでみようとした、それはつまり実験であり、冒険だ。実験の成果は、すぐには現れず、そして冒険とは、結果を求めるものではないのだ。それは、ワクワクするもの、ドキドキするもの。未知の世界へと足を踏み入れる勇気、そのもの。

その勇気をもって、わたしたちは、確かに今まで見たことのない野球を見せてもらったはずだ。先発から中1日で、中継ぎのマウンドに立った金子チヒロを見る時、知らない間に凝り固まった「プロ野球の常識」とやらに、ひゅっと風を通される。その感覚は、わたしたちの中に残り、決して消えることはない。経験とはそういうものだから。

多くの実績を残し、数々の表彰を受けてきた、金子チヒロのプロ野球人生に、記されてこなかった、たった一つのこと。
ー日本ハムは3年前に優勝しているけど、僕にとっては人生初優勝。お酒は飲めないから、ビールかけは炭酸水がいいかな…。今年でプロ15年目だが、気持ちはルーキーと同じ。最大の目標を達成するために、1軍で投げ続けることだけを考えているー(同上、独占手記抜粋)

残された最大にして唯一の夢をかなえるために。金子チヒロと仲間たち、わたしたちのファイターズ の冒険は、その最後のゴールー優勝を目指して進んでいく。本物のワクワクハラハラドキドキは、これからだ!

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