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歌え、君の歌をー再び札幌ドームへ帰ってきたわたしたちの谷口雄也のためにー2019年に記す

36試合目 2019 5/11  F×L 8対0    札幌ドーム

知っていたよ。今日はスタメンだって。そうなんだよ。おいらは持ってない女。どっかで外す女。例えばダルビッシュ有。10年前、働く店に来ていた。お店の人は握手してもらったりしてた。でもわたしは一度も会えなかった。試合のない木曜日はシフトの日じゃなかったんだ。

例えば2009年。優勝までマジック1の日。札幌ドームへ向かった。負けた。次の日にマックさんがさよなら犠牲フライを打った。決まった。マウンドにみんな集まった。知ってたよ。その時も、きっと次の日だって。

谷口雄也が、札幌ドームでおよそ3年ぶりのスタメン出場を果たした。6番レフトwe love 北海道シリーズ、ニューグリーンユニフォーム配布の日。ドームは満員御礼。大観衆の中、スタメンコールされて外野に走る姿を生で見たかったなあ・・。

初回、中17日ガラスのエース杉浦稔大が抑える。その裏ライオンズ先発今井投手。低めのボールをアンパイアが取らない。2アウトを取ってからフォアボールの連発。テレビを見つめながら、だんだん嫌な予感がしてくる。

このままでは2アウト満塁できゅんちゃんに初打席が回ってきてしまう。5番渡邊諒。なべりょちゃん打ってちょうだい!なんでもいいから打ってお願い!願いも虚しく、あっさりフォアボールで塁は埋まってしまった。

何度も言ってます。ファイターズにとって満塁のチャンスは満塁のピンチであると。そして同時に谷口雄也にとってチャンスはピンチ・・チャンスで打てないことが最大の弱点なのだから。いやしかし、これは逆に千載一遇の逆転のチャンスなんだ。もしもここで打てれば谷口雄也の野球人生は変わる!くらいの場面なんだ。

この一戦に懸けろ!進退かかった一期一会のたった1打席!

フオアボールを連発している投手の1球目を狙うのは鉄則。ど真ん中のストレート。谷口雄也は手を出さなかった。満塁のピンチはピンチのまま3アウト。

あああ・・・・・やっぱりなの?やっぱりダメなの・・運命に手をかけて自分でひっぱがさなければ、その先はないのに。どんよりとテレビを見つめる気持ちが淀んで目尻に涙が滲んでくる。が、落ち込む間も無く、あまり調子のよくない今井くんをファイターズは攻めたて再びランナー1、2塁のチャンスで打席は巡ってきた。

もうここで打たなければ本当にお終いだ。神様お願い!!神様お願いします!世界30万(推定)のきゅん推しの祈り。滅多に聞いてくれないのに。

2016年9月18日以来965日ぶり。一軍公式戦。札幌ドームでのヒットが生まれた。

965日ぶりって・・長いよね・・。大きな膝の手術から。24歳が26歳になり。今年は27になり。同期の西川遥輝は2億円越えプレーヤーになり。下からどんどん若い選手が抜擢され。台湾からは4割バッターが召喚され。外野の席は、現実として隙間もなかった。

それでも我慢に我慢を重ね、18,19の下っ子ばかりの鎌ヶ谷で数少ない先輩選手、リーダー格としての仕事もしてきただろう。その中で昇格に値する打撃成績も上げた。立派である。立派であるよ。試合は、ファイターズの圧勝。3月31日以来の貯金2。白黒生活へ別れを告げることができた。

谷口雄也。あざとく可愛すぎるキャラモテを自ら演ずる時代もあった。周囲の反応を見て先回りして期待に応えようとする傾向がある。可愛らしくて喜んでもらえるなら、そうします✨みたいな。

やがてチーム内で「可愛いいかもしんないけど、俺に見せなくていい」by大野奨太とか「谷口は女々しいから」by中島卓也とか(卓也は女々しいって意味を理解してなくて女の子っぽいって意味で言ったんだと思うけど。)といった声が出てくる。

必ずしも可愛いきゅんじゃ喜ばれないんだと察知したときから「男っぽい」「無頓着」的な態度に方向転換する。髪は必要以上に短く。ファッションは黒とかグレーとか迷彩とか。あろうことかヒゲまで伸ばしたこともある。大不評ですぐなくなったけど。

見ていることしかできないわたしは、やきもきしていた。周りを気にしすぎる。もっと自分勝手でいいのに。好きなようにすればいいのに。でもそんなこと言われたってな。立ち位置がわからないことだってある。自分の好きな様にたって、それ自体がわからないことだってある。

大人になる自立の過程は、誰だって難しい。ましてやプロ野球はひたすらに結果の世界。2016年の優勝時。きゅんちゃんはほぼ一軍にいた。打撃成績は芳しくもなかったがしがみつくように堪えていた。その時点から膝は自然に「膝かっくん」していたという。

神様って残酷だなって思った。一軍から離れたくなくてひた隠しにしてた故障が、居場所を無くしてしまった。それでもなお。手術明けの8月。谷口雄也は、札幌ドームにいた。もちろん試合には出られない。看護師さんを招いたイベントで、ファンに笑顔を向け、写真を撮る役目を果たすためだけに、そこにいた。

こういう仕事ーアイドル営業ーを蔑んだようにバカにする人間をわたしは深く激しく憎む。あんたにできるのか。膝の大手術をしながら、プレーができるようになるかどうかも、本当にはわからないのに。1日に200組もの見知らぬ人とニコニコしながら話したり、握手したり、写真取ったり。そこに居合わせた人々を幸福にする仕事が。無価値だと言えるのか。わたしはものすごく偉いと思うよ。大したプロ根性だとしか思えないよ。

そうなのだ。谷口雄也は紛れもないプロ野球選手。中でも世間に「消費される」ことに意識的な極めて珍しいタイプだと思う。(そういう意味では最大の大物斎藤佑樹が身近にいるわけだけど)

今再び、メイングラウンドへ。表舞台に帰ってきた。わたしたちのスーパーアイドルは、しかしなんの保証もされていない。今回の一軍昇格はワン・ボーロンが帰ってくるまでの穴埋めの気配が濃厚だ。ロンロンが帰ってきたら居残れるかどうか。

期間は、来週の楽天戦、東京ドームまで。たったの四試合。生き残りをかけるしかない。もうなりふり構わず行くしかない。周りのことなんか考えるな。自分のことだけでいいよ。谷口雄也、これまでやったことのない役に挑め!

高らかに、思い切り。自分の歌を歌おうよ。


(ここだけの話。わたし、来週の東京ドームに行くんです。持ってないわたしを変えてください。つばさ〜〜が〜〜ほしい〜〜〜👼)

5/16 谷口くんは一軍にいましたが、試合の出番はありませんでした。前の日は出てました。試合の終わりぐらいにベンチから出てきて外野キャッチボールしてました。見られて良かったです。わたしの運はどうでもいいですが、きゅんちゃんの運は変わって欲しいよ!


ファイターズ18勝16敗2分

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