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ミラーリングとオウム返しで相手を怒らせたって?


過ぎたるは及ばざるがごとし

 相手と同じ動きをする「ミラーリング」と、相手の言った言葉を繰り返す「オウム返し」。これら二つは相手に共感を示す手法として、コミュニケーションの講座ではよく出てきます。

 しかし何事もそうなのですが、使い方を間違えるとまるで逆効果になる場合もあります。さすがに極端な例だとは思いますがこんな人も実際にいるそうです。

「ミラーリング」の悪い例

 女性がコーヒーカップを持ち上げて一口飲もうとすると、向かいの男性もなぜかあわててカップを手に取る。

 女性があごに手をやると男性もあごを触る。

 女性が不意に首筋がかゆくなってかいた時でさえ、男性は首筋に手を持っていく。

 いいかげん気に障った女性が試しに、カップを持つように見せかけて途中で止めると、男性もまたカップに手をやろうとして、はっと気づいて手が迷子になっている。

「オウム返し」の悪い例

女性「最近、仕事が忙しくて。」
男性「そうなんですね。仕事が忙しいんですね。」

女性「ごめんなさい、花粉症かな?鼻がムズムズしちゃって。」
男性「鼻がムズムズするのですね。」

女性「……ところで、今日は暖かいですね。」
男性「今日は暖かいのですね。」
女性「暖かいのですね、って……。」

共感はどこへ

 風刺のきいたコントのようだと思いました。オウム返しとミラーリングを行うのに集中しすぎて、肝心の「共感を示す」という部分を置き去りにしてしまったら、それは本物のオウムです。

 ですが笑ってはいけないのかもしれません。これはおそらく、人と話すのがあまり得意ではない人が、色々と調べて試行錯誤しはじめた頃なのだと思います。

話し上手になるより聞き上手を目指すのは良いと思う

 まずは聞き上手になろうと努力しているのは、方向性としては良いと思います。話上手になろうとするほうが難しいですし、まとまりのない話をがんばってしゃべり続けたところで相手は確実にストレスが溜まります。

 何より、人の話を聞いて共感できる人になろうとするのはとても誠意のある考え方です。

 これが武道やスポーツであれば、基本の型がしっかりとできるようになるまで繰り返すのも大切かも知れませんが、会話なのですから型にこだわらず、心を開いてお相手と向き合い、自然に会話を広げていけば良いと思います。

女性「最近、仕事が忙しくて。」
男性「そうか、もう年度末ですからね。お仕事は何をされているのですか?」

女性「花粉症かな?鼻がムズムズして。」
男性「わかります。僕は目が特に辛いですね。こんな風に真っ赤になっちゃってて。」

女性「今日は暖かいですね。」
男性「もう3月か。早いものですね。もうすぐ桜が咲く良い季節になりますね。」

 がんばっている貴方に春が訪れますように。