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ワードローブの森の中から(51)「パーカーの紐」

 夏冬の季節の変わり目にお世話になるのがパーカーです。
 ある日のこと、洗濯機から取り出すとパーカーの紐が穴から取れていました。納戸から裁縫箱を取り出し、紐通しの器具を手に「さてと…面倒だが…」としばし手を止めていました。
 その時です。「あ、別に違う色目の紐でも良いのでは?」と気づいたわけです。我が人生、何十年も生きてきて、グレーのパーカーのお世話になってきましたが、何故かパーカーの紐の色に気づくことがありませんでした。
 紐通し器具を裁縫箱に戻すと、近くのユザワヤに行き、あれこれ紐を物色しました。ユザワヤには月に数回顔を出しますが、紐を探すことなどかつてなく、多種多様な紐の世界があるのだと、ワクワク楽しみながら紐を物色しました。
 私が持っているパーカーはグレーと黒色ですが、通常は基本色ともいえるグレーのパーカーばかりを着ています。さて、このグレーのパーカーを着た自分を想像しながら、紐は何色が良いのだろうとか、形状はとか、かなり考え込んだ末の結論は、淡い青色の紐でした。
 実は…この淡い青色の紐は、ユザワヤで探したものの、その紐の形状で納得するものがなく、靴屋さんで購入したものです。つまり、バスケットボール用のシューズの靴紐なのです。
 買ってきた市販のシャツのボタンを替えたり、靴紐も元からあるのではなく違うのをわざわざ替えるのが好きな私ですから、パーカーの紐も替えれば良かったのに、何十年もかけてようやく気づいたわけですね。
 と、いうことで、市販の服や靴も、ものは考えようで、労を惜しまずボタンを替えたり紐を替えたりすれば、より楽しく身につけられるものです。中嶋雷太

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