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私の好きな映画のシーン(33)『ロッキーホラーショー』

 この映画の原題は"The Rocky Horror Picture Show "ですが、日本では分かりやすいので、『ロッキーホラーショー』とさせて頂きます。日本劇場公開は1976年でした。
 ミュージカル・ホラー映画だとかカルト映画だとかカテゴライズされる本作品ですが、初めて本作品を観たとき、「映画とは◯◯であるべきだ」的な既成概念に凝り固まっていた高校生の私の貧しい心を解き放ってくれた映画となり、大人たちが喜んで使うそうしたカテゴライズの枠など遥かに逸脱させてくれた作品、そしてそうしたカテゴライズの貧しさを教えてくれた作品となりました。(その後、大学生になり哲学や文化人類学などの書物に触れ、映画を観る観客の文法ということをあれこれ学び、その逸脱の喜びを改めて理解しました)
   さて、本作品での好きなシーンはなんといってもティム・カリー演じるフランク・フルター博士が初めて登場するシーンです。あの赤と黒のボンテージ・ファッションの衣装は誰もが知っておられると思いますが、フルター博士の存在時代が本作品のキー・スピリチュアル・イメージとしてドンと現れ、十代の私は度肝を抜かれました。
 さらに、元々はミュージカル舞台劇として制作された作品なので、数々の楽曲が私を釘づけにしたのは言うまでもありません。後年、仕事でブロンドウェイ・ミュージカルに関わり、改めて本作品の力、そして面白さを感じた次第です。ただアメリカでの舞台版は観ることかなわず、古田新太さん出演の舞台を2011年に観ることができました。古田新太さんのおみ足が意外と綺麗だったので、ある種の倒錯感も楽しませて頂いたのと、フルター博士と古田で、名前を引っ掛けてもいるのかなと下世話なことも考えつつ勝手に楽しみました。
 本作品は、約半世紀が経っても色褪せない、私のエバー・グリーン・タイトルの一つとなりました。中嶋雷太

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