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dorsal root ganglia  

梨状筋症候群、手根管症候群などの絞扼性神経障害では、絞扼を受けた神経領域とは別の領域の痛みを感じることがあります。

dorsal root ganglia(後根神経節、背根神経節)(以下DRG)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ここには数千の神経細胞体が存在していると言われています。

今回、絞扼性神経障害でよく見られる、損傷部位とは違う領域での関連痛の出現
その謎にせまる文献について紹介させていただきます

Local and Remote Immune-Mediated Inflammation After Mild Peripheral
Nerve Compression in Rats 
Annina B. Schmid, Journal of Neuropathology & Experimental Neurology, Volume 72, Issue 7, July 2013, Pages 662–680

方法:
ラットの大腿部にチューブを配置し、坐骨神経を12週間圧迫
ミエリン、軸索、グリア細胞、マクロファージ、Tリンパ球、DRG、脊髄 などを免疫蛍光抗体法を使用し検査した

結果:
求心性経路に沿って広範囲のミエリンの変性、消失をもたらした
マクロファージとTリンパ球は神経とDRGに浸潤した
グリア細胞はDRGで増殖したが、脊髄では増殖しなかった

結論:
神経圧迫は、慢性の局所および遠隔での免疫介在性炎症をもたらし
、絞扼性神経障害に蔓延している症状を説明している可能性がある

つまり簡単に説明すると、まずなんらかの神経圧迫が起きると、圧迫を受けた神経のミエリンが変性を起こします。すると、その変性したミエリンを除去するために、Tリンパ球、マクロファージ(免疫細胞)が活性化します。それらは圧迫部位と関連するDGSで動員され(炎症が起きる)、圧迫部位だけでなく、関係する神経支配領域の症状をきたす。といったことになります。

例えば、足根管症候群を例に挙げると、
通常足根管は脛骨神経が絞扼されるため脛骨神経が障害されます。すると(L4)のDGSが反応し、同じ支配領域である大腿神経や腓骨神経にも影響を与える可能性があると言うことです。

むずかしいですが、なんとなく損傷部位以外での症状が出現するメカニズムが少し分かった気がします。
また何か良い情報があれば発信していきたいと思います。ありがとうございました。

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