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Double Crush Syndrome

参考文献:
Double Crush Syndrome
Kane, Patrick M. 
journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons: September 2015 - Volume 23 - Issue 9 - p 558-562

https://journals.lww.com/jaaos/fulltext/2015/09000/double_crush_syndrome.5.asp


Double Crush Syndrome(以下DCS)では末梢神経の経路に沿った2つ以上の場所での神経圧迫が起きます。

末梢神経障害の病態生理学は複雑で、様々な議論がなされています。
その中で、最も受け入れられている原則は、1箇所での神経障害があると、さらに神経を損傷しやすい状態になるといったことです

一般的にDCSは、手根管症候群(以下CTS)の手術にて良い結果が得られなかった際に、診断が行われます。CTSの治療の1つとして、外科的手術が挙げられますが、CTSの手術の満足度は低いとされており、その理由としては、DCSの存在が問題視されています。

一般的にDCSの診断は、病歴(問診)、身体所見、画像所見、筋電図などで行われます。
ただし、臨床現場では一つの診断名で、医者から我々理学療法士のもとに依頼がくることが多く、隠れている他の症状を見逃しやすいです。

そこで我々理学療法士の評価が大切になってきます。
例えば、<手根管症候群>としてリハビリ依頼が来た際に、本当に手根管による神経障害だけなのかを疑うことが必要です。
これに関与する神経圧迫部位は、他に頸椎(神経孔)、斜角筋、小胸筋、円回内筋など多くの問題が考えられます。
そのため神経を評価する際は、局所だけでなく神経全体の評価(末梢〜脳まで)が求められます。

では具体的にどうやって評価するのか?
頸椎の関与を除外するための評価を簡単に説明すると、
①まず神経を伸張位にもっていきます。CTSの場合は正中神経    
②症状が誘発される位置で頸椎を牽引する →神経孔は開くが、神経全体は伸張される  これによって症状が軽減するのであれば頸椎の関与が疑われます。

こんな感じで、絞扼が生じやすい各部位の問題を除外していきます。
他の部位の評価に関しては、また、まとめようと思います

療法士がしっかり評価できれば、保存療法の効果も得られやすいですし、何よりも必要のない手術を避けられるかもしれない可能性があります。患者さんにとって手術を受けるかどうかは、一大決心です。我々療法士の仕事も捨てたもんじゃないですね。
以上、今日はダブルクラッシュ症候群に関してでした。ありがとうございました。


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