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BEST ALBUMS OF 2022

リホです。

久しぶりの更新になってしまいましたが今年もこの季節がやってきました…。2022年リリースのアルバム(EP含む)から年間ベストを選んでいきます。昨年同様、16作品順不同とさせていただきます。

Awich - Queendom

今年はAwichの活躍が目覚ましい1年だったように感じます。アルバムリリース、武道館を経てメディアへの露出も増え、どっと認知度が上がったのではないでしょうか。1曲目、タイトルにもなっている「Queendom」はシーンを引っ張っていくという覚悟を感じさせる所信表明のようでした。Awichを構成する要素が散りばめられた、彼女のキャリアのダイジェストのような構成が素晴らしく、またメジャーに君臨する存在となっても媚びない姿勢が伝わる作品でした。

Blxst - Before You Go

ラッパー/シンガーのBlxstの一応デビューアルバムということになっている作品。全編メロディアスな曲が特徴的で、Ty dolla $ignの後継とも感じるアーティストです。ヒット曲「Chosen」もそうですが、リリックは割と甘い内容が多い印象です。まあR&Bはこうじゃなくっちゃねとニヤニヤしながら聴くのでした。自身が客演で呼ばれることも多く、今後の活動にも注目したいです。ぜひ数年の内にライブがみたい!

Kendrick Lamar - Mr. Morale & The Big Steppers

ヒップホップファンが皆待ちわびた新作。家族の存在が作品にも影響を与えた一方で、しがらみや責任意識は絶えることがなく、まさにアートワークが物語るような作品だったのかなと思います。自分の過去を振り返り曲に込める取り組みは、本作で度々触れられるセラピーのようでもあり、過去の行為に対する懺悔、告白ともとれました。そして終盤の「Mirror」での選択までがドラマティックに繋がります。トップを極めたラッパーの心の葛藤が伝わってくる重厚なアルバムでした。

Harry Styles - Harry's House

文句なしで今年のベストです。嫌いな人はいないだろうキャッチーさと、どことなくインディー感を感じるメロディーが軽快で、通して多幸感を感じるアルバムでした。ただ、後から公開になった「Music For a Sushi Restaurant」のMVには、込められた風刺にヒヤっとしました。あわせて、インスピレーションになったであろう恋人オリヴィア・ワイルド(既に破局したようですが、)の監督作でハリー出演の映画、「ドント・ウォーリー・ダーリン」も注目です。

藤井隆 - Music Restaurant Royal Host

50歳を迎えた藤井隆が自身も愛するファミレス、ロイヤルホストの50周年に寄せてコラボレーションしたアルバム。一見何コレ?感がすごい。藤井隆らしいポップスと往年のカバー曲がシームレスにつながり、歌謡曲的な歩みも感じさせつつ、バラエティに富んだ楽曲を提供するミュージックレストラン。実際にロイヤルホストの店舗で藤井隆が接客するスペシャルイベントも話題を呼びました。

Brent Faiyaz - WASTELAND

R&Bシンガー、Brent Faiyazのセカンドアルバム。控えめな、アンビエント的なアプローチのサウンドにのせてBrentの美しいボーカルが引き立ちます。1曲目「VILLAIN’S THEME」で展開されるJorja Smithとのやりとりでは、一時的な幸福と心の充足について言及されており、タイトル『WASTELAND(=荒地)』に繋がる導入となっています。シーンで得た名声と対比し自身の人間性を振り返るような内面性を感じる作品でした。

Taylor Swift - Midnights

テイラーの13の眠れぬ夜の物語、と謳われてリリースされたアルバム。テイラー、リリースペースが本当早い。『folklore』以降のインディー・フォークテイストを継承した落ち着いたポップスが並びます。リード曲「Anti-Hero」で歌う、世間からの評価と自己否定の混じる内省的な描写はケンドリックの『Mr. Morale〜』とも通ずるように感じました。また、歌詞に色をつけ情景或いは心情を表現する、ライティング能力の高さに脱帽。池城さんの解説がわかりやすかったです。

Kroi - telegraph

5人組バンド、Kroiのセカンドアルバム。R&Bやファンク、ヒップホップ、フュージョン等の要素を混ぜた独特の音楽性が特徴の彼らですが、今作は一層間口を広げ多くの人に楽しみやすい作品になっている印象。疾走感のあるサウンドが心地いい「熱海」はMVも注目です。夏フェスへの出演やメディアでの楽曲提供でどんどん人気が出てきそうに感じます。

さらさ - Inner Ocean

12月にリリースされたファーストアルバムがとても好みだったのでねじ込みました。FUJI ROCKへの出演でも注目されるSSW。気だるげに語りかけるように歌うスタイルが心地良く、なるほどジャンル的にはネオソウルでリリースされているのも納得です。人気曲「Amber」ではDJ Mitsu the Beatsが、「ネイルの島」はOlive OilがRemixバージョンを手掛けておりました。
今後ヒップホップシーンからのラブコールも益々増えそうな印象。

Andre - Hybrid

名古屋のクルーD.R.C.のメンバーAndreによるEP。6曲とコンパクトですが、全曲好みでした。名古屋のラッパーはハズレがない、素晴らしい。歌が上手いラッパーは良いですね。夜更けに聴きたいムード感のある曲にドキッとさせる一方で、タイトル曲「Hybrid」でみせる等身大の表現が若々しく、これからのリリースも楽しみなアーティストでした。

lyrical school - L.S.

lyrical schoolの現体制でのラストアルバム。K-POPの影響かアイドル曲にラップが取り入れられることは増えましたが、ヒップホップアイドルといえばリリスクでしょうというイメージの、存在感のある彼女達でした。今回もプロデューサー陣の豪華さに驚きますが、その幅の広さから現行シーンのトレンドを凝縮したような作品に。そんな中でも、KM & Lil’ Leise But Gold夫妻のプロデュース力の強さに改めて感服。また、終盤収録された、文字通りの「LAST SCENE」のリリックにグッときます。

Cordae - From A Birds Eye View

Cordaeのセカンドアルバム。イントロでは服役中の友人Shilohがフリースタイルを送りますが、これが作品のタイトルと繋がりアルバムが展開されます。オーセンティックなヒップホップサウンドに乗せて歌うメロディラインとラップのバランスがよく、特に後半の客演陣を迎えたメロウな展開は上期のヘビロテでした。本作の楽曲のMVやライブ映像では割とシャキッとした(?)服装で登場することが多かったので、ファッション的にもいいなぁ〜と思っておりました。

1Co.INR - Enough Said

山口県のビートメイカー、1Co.INR(ワンコイナリ)のアルバムです。読めない…。1〜2分の曲が中心のビート集のような作品で、客演を迎えた曲も2曲収録されておりますが、一貫したグルーヴのある世界観の中で楽曲同士が滑らかに繋がっていきます。とにかく、これを流すと落ち着くし集中できるので、自律神経が整っていく感じがしてよく聴きました。

Phony Ppl - Euphonyus

バンドPhony Pplの新作アルバム。彼らの特徴でもあるダンサブルなR&Bサウンドが一層パワーアップして戻ってきた印象でした。「warmest winter.」という楽曲が収録されていますが、パンデミックの影響で鬱鬱とした世界を一気に元気づけ、十分越冬できるだけの力を与えるような、聴いていて楽しいアルバムでした。ファンキーな楽曲群に気分が高揚します。

Burna Boy - Love, Damini

ナイジェリア出身のシンガー、バーナ・ボーイの6枚目のアルバム。本名が掲げられた今作は自身の内面を吐露するような内容が目立つ作品となっています。オバマ大統領もお気に入りにあげていた「Last Last」は奥行きのあるサウンドとハウスパーティーのようなMVが印象的でした。今年はブラックパンサーのインスパイアアルバムにも参加していましたが、アフロビーツ/アフロフュージョンを代表するアーティストとして躍進に期待です。

THE 1975 - Being Funny In a Foreign Language

アルバムというよりもSUMMER SONIC 2022でのヘッドライナーとしてのパフォーマンスが衝撃的でした。パンデミック以降ライブを行っておらず、また本作のリリースを控えた中の公演は世界中から注目されておりました。まるで映画をみているようなドラマティックな展開と皆が好きな曲しかないセトリ。そこに散りばめられた、感情を震わせる新曲。邦題が"外国語での言葉遊び"となっており、全くやれやれなんですが、タイトルの意味についてはこちらのインタビューをどうぞ。

あとがき

今年は580枚のアルバムを再生したみたいです(Apple Music調べ)。
新譜は変わらずチェックしていましたが、下期はなんだか時間的にも心情的にもnote更新の余裕がなくなってしまいました…。しかし、こうして記事を書くと言語化することの重要性をひしひしと感じますね。シングル編も続けて更新予定です。

関連:2021年編


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