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プラレールジャグリングの可能性

1はじめに

2016/12/8,9にピントクルのオムニバス公演『秘密基地vol.6』で「らいん」というジャグリング作品を上演しました。
そこでは、新しいジャグリング道具として「プラレール」を使いました。

というわけで、忘れないうちに創作メモをここに書きます。

中西みみずが「プラレール」をどのようなジャグリング道具として捉えているか、ジャグラーとしてどんな発想をしているか、を中心にまとめております。

2新しいジャグリング道具、プラレール

「プラレール」をジャグリング道具として扱いたくなったのは、次のような特徴に注目したからです。

それは、

プラレールは自分の力で動くことができる

ということ。

いわゆる、ボールやリングなどの普通のジャグリング道具というのは、人間が力を加えないと動きません。

その「運動を持たない物体」にいかに力を加えて、重力や遠心力で巧みにそれを操作するのかが、技術の肝となります。

というわけで、まずは安直に

①車体の個数

を変化させることによってジャグリングをしてみました。

3個を走らせれば、カスケードという基本技ができるわけです。



3革新的な発見、レールをジャグリングするということ

しかし、プラレールによるジャグリングの可能性は、まだまだそんなものではありませんでした。

何の気なしに、友達のとあるジャグラーがやった技こそが革新的でした。


このアイディアの革新てきなことは

②レールの形、個数

を変化させることによって「プラレールのジャグリング」がより豊かになるということです。

これは通常のプラレールの「レールの構造」からは、導きづらい発想です。

なぜなら、プラレールは固定されたレールのうえを走るものであり、このように「地面を走らせつつ、外から補助されて走るもの」ではないからです。

この通常とは「異なるレールの構造の発見」はとても重要です。

4プラレールで媒介させる

さて、そんなプラレールを眺めていると、ボールが乗るということに僕は気付きました。


サイトスワップ423のような技です。
(ボールが乗りやすいようにケースをつけた)

この操作は極めて重要で、この現象をどう解釈するかで技の発展性がかわります。

例えば、「プラレール、ボールという異種混在のマルチスローである」という解釈があります。
この場合プラレールもジャグリングされるものです。

しかし、僕はプラレールを「動く地面」、「ジャグリングを成立させる場」だと捉えました。
つまり、プラレール自体がジャグリングされているわけではなく、プラレールを媒介として、ジャグリングが成立している。ある種の間接的なジャグリングがおきていると解釈しました。

この考え方でさらにいろんなことができるでのすが、とりあえず、ここでは単純化して

③(プラレールのうえに)のせる道具の種類、個数

を変化させることができると考えました。

そして、様々な試行錯誤の結果、以下のような技、ループができました。


これは、以下のように先ほど出た3つの要素を組み合わせてできたものです。

①プラレール3つのカスケード
②円弧のレールを動的に扱う
③スマホ1台を上にのせる

さらに、これを2人でカスケードすることによって動画の技が完成します。

これが「らいん」でおこなわれている技です。

このように要素を明確に定めてから、その個数、種類を変化させて、技を発展させていくという「発想法」を今回は使用しております。

この発想法はJay gilliganから多大に影響を受けているんじゃないかなと、僕は勝手に思っていますが、どうなんでしょう…。

5プラレールジャグリングの可能性

さて、以上で創作メモとしての内容は終わりなのですが、もう少しだけ続けます。

このような新しいジャグリング道具や技をみつけていくことは、たしかに楽しいのですが…
僕が今一番関心があるのは、その拡張されたジャグリングからでる「独特の良さ、魅力」とはなんなのかと考えることです。

そして、この場合プラレールジャグリングにおける「独特の良さ、魅力」 とはなんなのか、何がそれを成立させているのか、という問いが
今回の「らいん」という作品の創作動機になっています。

情報・メディアが持つ「物質性」、そして観客と演者を包み込む「場」、そして「時間」。
この3つがこの問いを考えるうえでのキーワードだと思っておりますが、どうでしょう。

また、ここもじっくり掘り下げていきたいところです。

まあ、今回はそんなところで。

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