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ぬいぐるみジャグリングの可能性

1 はじめに

この文章は、Juggling Unit ピントクル主催オムニバス公演『秘密基地vol.5』で上演した演目『縫い、包み』のあとに、少しお話した「ぬいぐるみを扱うのってジャグリングだよなあ」ってことについて、もう少し詳しく書いてます。

                     (©2016moeko yamashita)

2 直接的ジャグリングと間接的ジャグリング

突然ですが、ジャグリングは大きく2種類にわけられると思っています。

物を人が「直接」操るジャグリングと、物で物を「間接的」に操るジャグリングです。

具体的にいえば、前者はボールやクラブなどのトスジャグリングやポイなどのスイングジャグリングがあてはまります。たしかに、道具を手で直接掴んで操作していますね。

後者はディアボロ、デビルスティックなどのいわゆる非トスジャグリングがあてはまります。棒や紐などを媒介として間接的に道具を操作しているからです。

そして、僕は今、後者の「間接的なジャグリング」、つまり、物で物を操るジャグリングに可能性をかんじています。

3「扱われる道具」と「扱う道具」

さて、間接的ジャグリングでは2種類の道具が登場します。

それは、「扱われる道具」と「扱う道具」です。

例えば、デビルスティックの場合、「扱われる道具」がセンタースティックで「扱う道具」がハンドスティックになります。

(白と黒の棒が「扱われる道具」センターステイック。白い棒が「扱う道具」ハンドスティック。そして白と黒のぬいぐるみパンダ。)

ここまでを整理すると、ジャグリング道具は3種類あることになります。

 ①直接的ジャグリングの道具(ボール、クラブ)

 ②間接的ジャグリングの「扱われる」道具(デビルのセンターステイック)

 ③間接的ジャグリングの「扱う」道具(デビルのハンドスティック)

物を与えられて、ジャグリングしてみようとなると、なんでもかんでもその物を投げる人がいますが、それは①の直接的ジャグリングの道具としてしか物を捉えていないからです。

しかし、すべての物体が①に向いているわけではありません…。

そして、僕は考えました。

一体、ぬいぐるみはどれに向いているんだろう?

4「ぬいぐるみ」という物体

そして、考えた結論がこうなりました!

わかりづらいかもしれませんが、人間がぬいぐるみを媒介として「扱い」ながら、間接的にボールや本が「扱われて」います。

そう、僕はぬいぐるみを③間接的ジャグリングの「扱う」道具としてつかってみたのです。

ここで注目すべきなのは、僕(人間)からするとボールは②間接的ジャグリングの「扱われる」道具になっていますが、ぬいぐるみからするとボールは①直接的ジャグリングの道具になるということです。

つまり、ジャグリング道具としてのぬいぐるみは他の③の道具とは異なり、別の物体と②だけでなく、①としての関係も持つことができる珍しいものなのです。

これはぬいぐるみがただの物体ではなく、「見立て」を生じさせる特殊な物体だからでしょう。

このように物体の形や材質ではなく、「意味」を活かすジャグリングというのは、僕の中では非常に画期的な発見となりました。

今後も様々な新しい道具を発見していきたいですね~。

それでは、おしマイケル・モーション!

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