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「変わったお客様 その1」

お店を始めた当時、注文書をFAXで送ってもらうかたちで注文を受け付けていた。

ある日、英単語から長文読解まで様々な問題が書かれているテスト用紙みたいなものが、注文書と一緒に送られてきた。

送り主にさっそく電話をして「間違えてテスト用紙みたいなものが来てますよ」と伝えると、電話に出た男の子(多分高校生)から「間違いじゃないですよ。注文してあげるんだから、この宿題やってくださいよ」と平然と言われた。

更に「海外のもの取り扱ってんだから、こんなの簡単にできるでしょ?」とあっさり言うのだ。

私は呆れてしまい夫に電話を代わってもらった。

夫も夫で「他人が宿題をやってしまったら、ご自身のためになりませんよ」と優しく諭していた。

結局男の子は長文読解だけでもやってくれと泣きついたらしく、夫が「とりあえずご自身でやってみて、どうしても分からないところだけ教えます」とこたえた。

その数時間後また同じものが流れてきて、途中まで訳してあり、どうしても訳せないところに波線が二重にひいてあった。

夫はヒントだけ書いて送り返していた。

その後とくにお礼を言うでもなく、「注文引き続きお願いします」と書かれたFAXが送られてきた。

商品は忘れもしないアンダーテイカーのパーカーだった。

おわり

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