いぢわるな魔女の漢方治療日記 28

十月 二回目。
前回から一週間後の診察。
胃腸炎は改善せず、三日間飲まず食わずのふらふらの状態で病院へ。

先生「あれ?調子悪そうだね」
私 「また胃腸炎みたいです」
先生「どんなふうに具合悪くなった?」
私 「三日前、夕食後、胃のあたりが膨満感で苦しくなって、お腹の上の方が痛くて息苦しくて。翌日微熱が出て、水便の下痢が始まりました。水を一口飲んだだけですぐにトイレに直行みたいになってます。それ以来、絶食です。体重も2キロ減りました」
先生「吐いた?」
私 「いえ、吐いてはいません」
先生「じゃ、ノロじゃないな。何か入っちゃったかな」
げっ!何が入ったの?
先生「その割に冷えがみえないな」
私 「確かに、からだの痛みに意識がいかない。腰も楽です」
先生「ある意味、水が捌けたんだよね」
私 「この胃腸炎のタイミングで生理にもなって、色んなものが出過ぎてつらいです」
先生「ほら!血と水が抜けたんだよ。ひょんなことで実践しちゃったね」
そーか!なるほど!
先生「もう少し絶食していいよ」
私 「え?そんなに絶食して死なないですか?」
先生「死なないよー」
私 「いや、それはキツイ。そして、すごく喉が乾いて、ポカリは飲んでるんですけど」
先生「・・・(パソコン見たまま)重湯にしてね」
こ、こわい。。そ、そーですね、ポカリじゃだめね。
そりゃ、そーね。わかっちゃいるけど、ね。ちっ。
ベッドに横たわり、お腹をみせる。
先生「左上、右上張ってるね。右下、ここ痛いね(ギュー)」
毎度のことながら、痛いっつーの!
先生「うん、痛いよね。研修医にも触らせてもらっていい?」
はいはい、どーぞどーぞ。
先生「(研修医に向かって)急性の胃腸炎の腹部の感じがわかるから触ってみて」
未来の漢方医にからだをはって貢献してるノ図。
先生「そうはいっても、体力もなくなってきてるだろうから、そろそろ終わらせようか」
なんだ。この魂の抜け殻のような状態、終わらせられるのか。
先生「一種類処方だすから。また一週間後ね」

処方
エキス剤
柴苓湯(サイレイトウ)
効能:体内の余分な水分を取り除く。主に胸部につかえがあり、むくみ、はきけ、口渇などがある時に用いられる。

ふらふらのまま帰宅。すぐに処方された柴苓湯を飲む。
数十分もすると、チリチリとした腹部の痛みがさーっとひいた。
水便も回数が急激に減り、止まった。
これは、かなり即効性がある。漢方だって速攻反応するものがあるんですよ。

そしてまた、一週間後の診察。
先生「どう?」
私 「まだイマイチです。食事が全然とれない」
先生「そう?からだの冷えもお血もそんなにみられないけどねー」
私 「そして、口に入れたもの全部酸っぱく感じるんですけど。そんなことありますか?」
先生「逆流性食道炎かな。胃散が上がってきちゃってるんだね」
いやいや、違うなセンセ、逆流性食道炎じゃないと思う。口に入れたものがなんでも酸っぱい。コーヒーだって酸っぱい。食物全てが腐っているイメージ。昔、腐ったカスタードクリーム食べて死ぬほどの食中毒を経験しているから、酸味には異様に敏感。胃酸が上がっていればすぐわかる。
私 「食べれないからか、からだに力が入らないです。そして、また腰痛がキツくなってきました。もう、これはしょうがないですかね」
先生「しょうがなくないよ。そーだな、肺と腎から治療していこうかな。今日は薬局で六君子湯(リックンシトウ)三袋飲んでから鍼灸行ってね」
私 「はい。ところで、先生もお疲れなんですか?腕に置き針してる」
先生「うん、色々あって疲れてる」
そりゃ、そーだよね。先生も人間だもんね。
よかった、エスパーとかじゃなく、同じふつうの人間で。

処方
煎じ薬
六君子湯(リックンシトウ)
蒼朮(ソウジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
人参(ニンジン)
半夏(ハンゲ)
陳皮(チンピ)
大棗(タイソウ)
生姜(ショウキョウ)
甘草(カンゾウ)

効能:吐き気を止め、胃の余分な水分を除く。食欲不振、疲労、慢性の胃腸症状などを改善する。

エキス剤
六君子湯(リックンシトウ)
効能:吐き気を止め、胃の余分な水分を除く。食欲不振、疲労、慢性の胃腸症状などを改善する。

八味丸(ハチミガン)
効能:血行を良くし、腎臓のはたらきを改善する。

苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)
効能:血行を良くして、体内の余分な水分を取り除き、むくみや風邪を改善する。

薬局で漢方を飲んでから鍼灸へ。

鍼灸師「お腹の真ん中が真っ黒くずどーんと穴が空いちゃってますね、冷え冷えです」
おや、中田先生には冷えはそれほどみえないって言われたんだけど。。
鍼灸師「今日は徹底的にその穴があいて冷えてるところ温めていきます。お灸も使います」
からだの裏表に鍼をうたれ、お灸も数カ所。
鍼と灸で治療してもらい、なんとなくからだがポカポカしてる。からだが動いているな。
いい気分で帰り支度をしていると、鍼灸師の人に声を掛けられた。
「ぱーっと気分転換でもして、元気だして」
カチン。
その言葉に引っかかる。
あのさ、気分転換して調子がよくなるんだったら、いくらでも気分転換でも方向転換でもしますよ。気分転換とかさ、そういう問題ではないでしょ。イラッ。
中々治癒しない病気にかかり、闘病も長引くと、表面的な励ましや気休めの言葉には過敏に反応してしまう。
鍼灸師の人が悪いわけではない。
自分が病気になる前だったら、きっとそんな言葉気にもとめないし、もしかしたら私もお客さんにそう声を掛けていたこともあったかもしれない。
私もずいぶんとめんどくさい患者になったもんだ。
それを思うとずっと診てくれている中田先生の言葉はひっかからないんだなあ。こういうのが相性ということでもあるのか。
シュハリのお客さんの何人かにも、漢方内科を紹介した。
私の治療の話を聞いて、漢方や中田先生に興味を持ち、診てもらいたくなる。何人かは病院の待合いで出会ったり、また、初診で通うのを止めてしまう人もいる。その人に聞けば、中田先生にキツい事を言われて合わなかったと。ははは。確かに中田先生は決していつもニコニコ愛想のいい先生ではない。病人に直球を投げて来る。シュハリにも手加減なしの直球を投げる係の人もいるけど。優しい言葉で「つらかったね。大変だったね」と耳心地のよい言葉を欲している人には合わないのかも。私だったら、そんな中身のない声掛けをされたら、逆に診療を止めていたかも。
全員が全員、中田先生と合うとは限らない。いくらいい腕を持っている医師でも相性が合わなければ中々治療も進まない。相性とは、それほどに大切な要素。そういう意味でも相性の良い漢方医と出会えて、私はラッキーだったんだと思う。


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