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息子と私の高校受験237日「最終兵器」

涙はいつまでも止まらず、ただわんわん泣きながらおめでとうを繰り返すだけの私。
息子はそれがちょっと恥ずかしかったらしく(笑)、

「なあ、もう帰ろうや。
早く車出してよ。」

と言い出しました。

「ちょっと待ってよ。
今運転なんかできないし。」

せめてもう少し余韻に浸らせてくれよ。
そう思いましたが、何度も家でゆっくりしたいから早く帰ろうという息子に、仕方なく車を出しました。

合格発表を見に行ったら、学校に合否を報告することになっていたので、家に着くなり、息子は学校に電話をしました。

担任の先生に合格を報告して電話を切った後、先生なんて?と聞くと

「あ、やっぱりー。そうだと思ってた。おめでとう。
って言って笑ってた。」

と息子も笑っていました。


息子の合格で、我が家は一気にお祝いムードになりました。
気にして帰ってきた妹も、合格を聞いて、飛び上がって喜びました。

息子はその日、一日中ずっと

「勝った。
勝った。
勝った。
俺は勝った。
何に勝ったかわからんけど、俺は勝った。」

と繰り返し言っていました。

それは自分に勝ったんだよ。
私は心の中でそう言いながら、

「うん、勝ったね。」

と笑っていました。


そして夜、お祝いの夕飯が終わった時、息子が言いました。

「終わったな。
本当に俺、前期で受かったで。
めちゃくちゃ勉強したもんな。
もうこれ以上ないくらい頑張ったもんな。

さすが、俺!
えらい、俺!
強い、俺!

ほんとに勝ったわ。
めちゃくちゃ嬉しいわ。

今日はもう好きなだけゲームやる。
好きなだけ夜遅くまで起きてる。
もう今日は好きなようにするねん!!!!」

「本当によく頑張ったと思うよ。
あの苦しくても頑張った時間があったから今があるし、
すべていい結果につながって本当によかったね。
もう好きな事いっぱいやったらいいよ。」

すると息子がこっちを向いてこう言いました。


「うん。
本当によかった。

でも、最終兵器はママやったな。
ありがとう。」


「そうやろ!
ママもえらいよな。」

娘やおばあちゃんの前で泣きたくなかったので、笑いながらそう言ったけれど、これはかなりやばかった。(笑)





「最終兵器はママやった。」

その一言にすべて報われた気がしました。
がっちり向き合って、一緒に時間を過ごしてきてよかった。
本当にそう思いました。


完全に勉強を放棄して、成績も地に落ちた状態の所から始まった、息子と私の高校受験。

前期試験で受かったことで、237日より少し短くなったのですが、この経験は高校に合格したことだけでなく、彼がこれからの人生で色々な問題にぶつかった時、大きな力になるだろうと思います。


嫌でもなんでもやらないといけない時が人には必ずあって、
逃げずにそれをやりきったら、それをやった人にだけ手に入るものがある。

それを彼は自分自身の力で知ることができたので、子育ての中の私の大きな仕事の一つは終わったような気がします。

そして彼は、私に、人はこんなにも変われるということを教えてくれました。

それを今、辛い時間を過ごしている方に知っていただきたいので、番外編として今の彼のことを書こうと思います。

全21話。

長いお話になりましたが、最後までお付き合いくださって、本当にありがとうございました。

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Belle Posent(ベル・ポーズ)
ウォーキングレッスン・インストラクター育成・研修・講演・セミナー
代表 水野里香
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