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CAMP

インクトーバー2022 28日目 お題は『キャンプ』

家族でキャンプに出かけることなんて、多分もうない。ムスメが幼稚園の頃、園の保護者サークルに入っていて、月イチで県内外のキャンプ場に向かっていた。出不精のオットにとって、こどもが牽引して出かけなければ、そんな経験はなかっただろう。

当時、まだ自分達のテントを持っておらず、わたしの父から借りたものを使っていた。ティピとはまた違った円筒形のテントは雨に弱く、ある時どしゃ降りの雨の朝、目が覚めたらテントの真ん中に寝る私たちをぐるりと囲む溝ができていた。

その後、新しいテントを買ったはいいが、ちょっと大きすぎて持て余している。どうしようかと考え中。テントは時間が経つと劣化する。そろそろ賞味期限が切れてきたのではないかと思うのだが、倉庫から出すのが面倒で、そのままにしている。日の目を見ずに朽ちるかもしれない。

そう、キャンプといえば、準備と後片付けが面倒くさい行事である。土日にキャンプに行くと、当然ながら月曜日にオットは会社へ行き、ムスメは幼稚園に行った。テントや寝袋を干し、道具類を洗ったり拭いたりして点検し、元通りに戻すのはわたしの仕事だった。

いつだったか、三連休で、初日と中日がキャンプで、その帰り道にオットの実家に寄る、ということがあった。三連休の最終日、オットの実家で寝袋を干して取り込む作業をしていた時、お母さんがそばにいた。わたしは寝袋をたたみ、くるくると丸めて袋に入れた。それをじっと見ていたお母さんが驚きの声をあげた。「こ、こんなに寝袋をしまうのが上手な人は見たことがない!」

いや、そんなに寝袋をしまう様子を見るケースがあったんかい、と思ったが、褒められて悪い気はしなかった。「そうですかあ?」とかなんとか照れながら、わたしは3つの寝袋を片付けた。お母さんは後々も、「寝袋をしまうのがうまい人」として何度かわたしを話題に上げた。お父さんもオットも、特に「ふうん」という感じでスルーをしていたのだが、お母さんは熱心に「あんなにうまい人はいない」と絶賛。ただ、12年後にお母さんが亡くなるまでの間、それ以外に褒めてもらった記憶がほとんどないので、それ以外のことでは褒めようがなかったということだろうか。

その寝袋もオットが別のタイプに買い替えた今では、しまうのがすごく大変だ。わたしはもう、寝袋をしまうのがうまい人ではなくなっている。



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