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からすなぜなくの

最近、カラスがガアガア鳴いている。3〜4日前から、家の周りに何羽も集まっては鳴きわめいている。

最初の日は、庭のブルーベリーの木に、二羽がとまって、熟れた実を静かに食べていた。
ところが、その翌日の朝から、ケンカ?と思うくらい、激しく鳴くカラスがどんどん集まってきて、電柱の上で羽根を逆立てている。朝から夕方まで断続的にそれが続いた。目の前の道路は通学路で、小学生が登下校しながら、「カァカァ!」と鳴きマネをしたり、「なんで鳴いてるの〜?」と呼びかけたりする様子は微笑ましいが、カラスのわめき声はとにかくうるさいし、本当に不気味だ。

なにかの天変地異の前触れ?ナワバリ争い?カラス仲間の緊急事態?いろいろ考えるが、わたしにわかるはずもない。ききみみずきんがあったらなあ。

不思議なのは、毎日、とまる電柱を一本ずつ移動していくことだ。最初はうちの北側にある電柱、翌日は一本南側、さらにその翌日はもう一本南側だ。

カラスはたいへん頭がいいらしい。ヘタに手出しをしたら、ヒッチコックばりに、恐怖に晒される気がして、カーテン越しに見守るだけだ。

ところで近所にお住い(であろう)の中年男性が、ここのところうちの前を通る時に怒鳴り散らしている。いつもは自転車なのか、「ばかやろう」だの「うるせえ」だの、声が聞こえて窓辺に出てみると、もう姿はない。罵倒の相手が誰なのかもわからない。ただ、その声には特徴があって、「ああ、またあの人だな」とわかる。

昨日はカラスがガアガアカアカアと鳴き交わしているのを眺めていたら、ふらりとその人が通りかかった。作業着のような服装で、手にはレジ袋に入った何かを持っている。雨模様のせいか自転車ではなく、歩いて移動しつつ、電柱の上のカラスを威嚇している。「うるせえこのやろう」と怒鳴るあなたがうるさいですよ、と思って見ていたら、なんとニヤリと笑ったかと思うと、足元にあった小石を拾い、カラスめがけて投げつけた。もちろんカラスはスイッと避けて、とまっている電線を一本ずらした。彼はさらにニヤリと笑って、もう一度小石を拾い、投げつけた。カラスはちょっと首を傾げたが、特に動くこともなかった。その人は、なぜかヘヘッと笑って、足取りも軽くその場を立ち去った。

さて。今日もカラスが群がってくるかと思っていたら、早朝に一羽が電線にとまっているのを見たきり、音沙汰がない。

なぜ?日曜日だから?もうナワバリの決着がついたから?なに?どうして?
謎は深まるばかりだ。

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