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レインコート

もうなん年くらいレインコートを着てないかなと考える。

幼稚園の頃、黄色いレインコートを着て、長靴をガボガボいわせながら、黄色い傘をさして、母の後ろを歩いていた。ビニル素材の感触がいやで、早く脱ぎたかった。濡れた傘やレインコートが肌にピタッとくっついた時の感じもいやだった。

湿った土の匂い、草の匂い、雨の匂い。草の上に溜まった水滴がつるっと落ちていく。道路にできた水たまりに顔が写る。雨の記憶は気持ち悪い感触と、鮮やかな色の中間にある。

ムスメが小さい時、黄色いレインコートを着せていた。彼女はいやではなかったんだろうか。長靴が好きだったのは幼稚園までだった。小学校に上がってから、サイズが変わるごとに何回も長靴を買い換えたのに、履いたのは1〜2回しかない。理由はわからないが、土砂降りでも履くのを拒んだ。新品同様でサイズアウトする長靴を人に譲るたび、新しいものを買うべきかどうか悩んだ。同様にレインコートも着ない。

中学校は通学に長靴を許可していない。雨が降ると白いスニーカーはぐしょぐしょになってしまうが、翌日もまたそれを履いていくしかない。レインコートも着ないので、制服もビショビショ。ぎっしりと教科書が詰まったリュックもびっしょり濡れている。

今日はオットが布団乾燥機でムスメのスニーカーを乾かしてやっていた。明日もまた大雨の予報なのだが。






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