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あしばや

歩きながら話をすると息が切れる。歳だなあと思うが、まあ、仕方ない。

今日は、フリースクールの校外授業の日。中学生を連れて、バスで移動する。博多駅前に到着したあと、バスセンターで別路線に乗り換えなければならない。わたしと担任は時間がないので急いでいるが、女子二人が遅い。「歩くのが速いでーす」「センセー、速いでーす」と言いながらついてくる。距離がどんどん開いてきた。担任はスピードを緩めることなく進む。乗り換えのバスに間に合わないからだ。ここは、なにがしかの説明をして、彼女たちを納得させ、スピードアップさせなければならない。わたしなら「急いで!」とか「バスの乗り換えに間に合わないよ」とか言うだろう。

「速いでーす」「速いでーす」と言いながらついてくる二人に、担任が放った一言は「ごめーん!都会っ子やけん、歩くのが速くてねー。これでも相当ゆっくり歩きよるんよ!」だった。女子たちは爆笑しながらついてくる。「東京育ちやけん」と先生が言うと、「うそー!違うくせにー!」と笑いながら、遅れまいと歩を進める。

笑いを取って、相手にプレッシャーを与えずに、こちらが思うように行動させる。すごいなあ。すっかり感心しながらわたしも足を速めた。バスセンターに着く頃には、息がかなり上がっていて、「大丈夫ですかー?」と中学生に心配された。なんだ君たち「速いでーす」とか言ってたのに、息ひとつ乱れてないじゃないか。若者め!


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