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二日酔い?

下部消化管内視鏡検査に行ってきた。下部消化管とは大腸のことで、肛門からカメラを差し込んで、小腸までをぐるっと見てみましょう、という検査だ。わたしはこの検査を受けるのは3回目だ。1回目は総合病院、2回目は個人病院、そして今回の3回目は大学病院である。

尾籠な話で申し訳ない。ご存知の方も多いと思うけれど、この検査はまず、大量の下剤を飲んで準備をする。2リットルのポカリスエットのような味の液を2時間かけて飲む。飲むだけではない。下剤なのだから、トイレへ通う。それだけでも疲れるし、飲み飽きた味の飲料を口に運ぶのは億劫だし、気分は下がりっぱなしだ。1回目の総合病院は、その検査では名高い医師がいると聞いて、病院を決めた。わたしの隣で同じように下剤を飲んでいる年配の女性が「わたしね、何回か、ここで受けたことあるんだけれど、あの先生は素晴らしいのよ。痛みもなく、スーッとね、あっという間に終わってるわ。安心していいわよ」とおっしゃるので、わたしもそれほど緊張せずに済んだ。ところが、である。ホワイトボードには、先生の名前が2名書かれていた。嫌な予感がした。待合室で待っていると、先に名前を呼ばれた年配の女性が、「お先に。ああ、今日も痛みもなくサッと終わったわ。本当にあの先生は上手よ」といいながら、帰り支度をした。その後すぐにわたしは名前を呼ばれたが、「名医」ではない方の、若手の先生が担当になった。

「ぎゃー」と声を出してしまった。「イタタタ」と言ってしまった。とにかく、お腹の中を長い棒でかき回されるような感じで、本当に痛かったのだ。
その時に「今後は、麻酔を打ってもらおう」と心に決めた。実際、2回目の個人病院では、麻酔のおかげで苦痛もなくすんなりと終わった。

そして今回。3回目の大学病院でも、当然、麻酔をお願いしたが、先生は「眠くなるお薬はウトウトする程度で、熟睡はしません。もし痛かったら言ってくださいね」と言う。まさか。手加減しながらの麻酔。しかも、歯医者のような「痛かったら言ってください」の恐怖。

わたしはウトウトしていたにも関わらず、夢の中で叫んでいた。「いたーい」と言っている自分の声が、他人のように遠くに聞こえていた。麻酔を追加されたわたしは、そのまま意識が遠のいた。

気がつくと、ベッドに横になっていた。すぐに帰らなければ、と思って、看護師さんを読んだ。受付で支払いの順番を待っていたら、めまいとかなりの気分の悪さ。喉はカラカラで、紙コップに2杯、水を飲んだ。血圧を測ると、130を超えていて、すぐに横になってください、と車椅子で別室に移された。

横になったら、今度は吐き気がした。ナースコールを握らされていたので、なんども押すが、誰もこない。吐くよ。もう、吐きます。うええ、と思ったところで、見回りの看護師さんがやってきた。「ウプ。吐きそうです」と言ったら、慌てて金属のトレイを持ってきてくれた。そこで先ほど飲んだ水を全部戻して、気が遠くなった。

しばらくして先生がやってきた。「大丈夫ですか。実は、痛みがあるとおっしゃったので、眠くなるお薬を追加しました。今は、二日酔いの状態に似た症状です。横になって、眠ってください。」うっそ。眠れないよ。目が回るし、吐き気はひどいし、寒いし。ナースコールのボタンを押しても押しても、誰もこない。うそ。喉がカラカラだ。水を…。一口でいいから水を。誰もこない。

結局、3時間経って、ようやく起き上がり、先生の説明を聞くが、話は頭に入らない。まだ吐き気がすごいのだ。「二日酔いのような状態なので、家でゆっくり横になってくださいね」と言われ、フラフラしながらバスに乗った。

二日酔いに効くには、なにを飲めばいいだろうか。思いついたのは、「ダシ」である。塩気と暖かさとスッと胃にしみる昆布とカツオの風味。うどんだ!でも、せっかく消化器官を全部洗浄したのだから、滅多なものは食べたくない。添加物の少ない、美味しいダシを。が、体調がめちゃくちゃ悪いので、夕食を自分で作ることはできない。オットに頼んだら、マクドナルドを買ってきた。わー。マクドナルドかよー。と、思ったけど、美味しかった。二日酔いの朝は、今度からマクドにしよう。


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