見出し画像

かまめし

オットは炊き込みごはんが好きだ。ホタテも好きだ。お店で「ホタテ釜めしの素」を見つけた時、迷わずに買った。

3合の米に「ホタテ釜飯の素」を投入し、お好みでシメジや油揚げなどを加えてください、と書いてあった。うちにはシメジも油揚げもなかったので、人参と生姜を千切りにしたものを加えた。

炊き上がったごはんは、ほんのり磯の香りがした。ホカホカの釜めし。いい出来だ。これは結構なご馳走ではないか。茶碗によそって食卓に並べる。オットが一口食べて「生臭い」と言った。「なんでこんなに生臭いんだ」そう言いながら、辛そうな顔で食べ始めた。なんでこんなに生臭いのかとしつこく言う。
「塩を振りかけてみる」と言って、あれこれ工夫をしたようだが、最終的には「無理」と言って箸を置いた。

生臭いのではなく磯の香りだと説明するが、「それを生臭いと言うのだ」と切り返される。いや、違うよ。生臭いというのは「臭み」であって、香りじゃない。しかし、これ以上は共通言語を持たない者同士の言い合いになるので黙った。正直、喜んでくれると思ったのに全否定されると凹む。

ムスメは「生姜が効いているからそんなに臭く感じない」と言ったが、生臭い、生臭いと目の前で連呼されて、箸は進まなかった。3合炊いた釜めしが、2合余った。450mlのタッパー3つに移して冷蔵庫にしまう。

そのまま放置していては、誰も手をつけないので、わたしが食べることにした。ホカホカの時は香りたっていた磯の香が、冷やすと全然生じない。ホタテの旨みをたっぷりと含んだごはんは、ちょうど冷えた駅弁のような感じだ。噛み締めるたびに、ジュワッとホタテや生姜の味が口いっぱいに広がっていく。うまい。

そんなわけで、わたしは今朝からホタテ釜めしをお茶碗3杯分食べた。残りは2杯分くらいである。さすがに明日にしようと思う。オットにはしばらく白めしを食べてもらう。オットはおかずがあるのに、必ず「ふりかけ」とか「つけもの」を要求して、白めしに味を加えてから食べる。

それにしても、腹いっぱいで苦しい。ちょっと昼寝をしたいところである。晩ごはんのおかずは後で考えよう。

サポートいただけたら、次の記事のネタ探しに使わせていただきます。