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とじぶた

オットとわたしが結婚することになったとき、『破れ鍋に綴じ蓋やな』と言った人がいるらしい。オットの職場の人だ。『ま、ポンコツ同士、お似合いだよね』という意味だろう。オットからそれを聞いたとき、言いたい奴には言わせておけ、と思って「ふーん」と返事はしたがそれ以上は追求しなかった。

最近、ふと思い出したことがある。オットには毎日弁当を作っていた。そして、ある日オットが「先輩にランチに行かないかと誘われたんだけど、弁当があるんでと断ったら、『ああ、いつもの茶色いやつね』と言って、周りのみんなも、『そうだそうだ』と笑った」というのだ。オットも一緒になって笑ったらしいが。

あらためて考えると、失礼なやつばかりだなと思うが、それくらいのことを言い合えて、笑い合える仲だったとも言える。もう、その会社は存在しない。先輩たちも定年でいなくなった。

すっかり忘れていたが、昨日は結婚記念日だった。オットはいつもリモート勤務でずっと家にいるのに、こんな日に限って夕方から仕事だという。夕食が食べられる時間には帰ってこないと言い残して行った。わたしはムスメと二人でローストビーフとおにぎりを食べた。

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ちなみに、ヘッダー写真は我が家の炊飯用の、土鍋の蓋である。嫁入り道具というか、結婚の直前にわたしが買ったものだ。16年間、愛用している。

数年前にオットが蓋を落として割った。捨てるに捨てられず、修繕することにした。陶器用の接着剤でくっつけてみたが、長持ちしない。炊飯の熱と水のせいで、だんだんズレてしまうのだ。しかしあるとき、ふと時代劇ドラマで見た、半紙に米糊をつけて修繕する様子を思い出して、マスキングテープを貼ってみた。なんともう1年以上経つが、びくともせずに固定できている。
マステすばらしい。

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