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HELMET

inktober2021 15日目のお題は「HELMET」

ヘルメットを最後にかぶったのはいつだったか。トンとご無沙汰である。被災時に必要だから、一家に人数分のヘルメットをと言われるけれど、まだ用意していない。

原付バイクで転んだことがある。20か21歳くらいだった。体は擦り傷で済んだが、頭は打った。地面にしたたかぶつけたが、痛みも衝撃もなかった。ただ、アスファルトにぶつけた頭が、ボヨン、と弾んだのは感触として残っている。頭全体がふわっと柔らかいものに包まれたような感じで、ぶつけたというよりは、コツンと当たったくらいに感じた。でも、もしヘルメットをかぶっていなかったら、めっちゃ痛かっただろうなあ、と考えた。

ヘルメットを外して見て、ゾッとした。アスファルトでザックリと表面がえぐれている。そして地面にズザザと擦った跡があった。これ、めっちゃ痛いだけでなくて、死んでるわ、と思った。ヘルメット大事!と心の中に碑が立った。

今はもうバイクには乗らない。自転車が移動手段だ。先日のことだが、前かごに入れたカバンが倒れて中身がこぼれそうになった。それを元に戻そうと左手を前に出したらバランスが崩れて、ハンドルがブレた。片手ではもうバランスが取り戻せなくなって、ブロック塀に突っ込む体勢になってしまった。それを避けようと、体を捻ったら、自転車ごと倒れた。スローモーションで倒れる自転車から投げ出される感覚はあったが、実際には1秒くらいのことだと思う。転んだ瞬間のことは全く記憶にない。体がどのように倒れてどのように回転したのか、自覚がないのだ。ハッと気づくと、横倒しになった自転車のそばに正座していた。

ヘルメットを被っていなかったので、打ち所が悪かったらえらいことになっていたなあと思いながら、その足で整形外科に行った。骨は大丈夫だった。「気をつけてくださいねー。頭打ってたらえらいことでしたよ」と言われて、やっぱりヘルメット大事、と思った。


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