捕らぬタヌキが忙しい

ムスメが幼稚園に入ってから今日まで、4月は何かと忙しい。さすがにそろそろ慣れても良さそうなものだが、これが慣れない。特に慣れないのが、体操服に縫い付けるゼッケンである。

胸と背中に縫い付けるゼッケンには、クラス番号と苗字を書き込む。
フォントを選んで拡大し、それをゼッケンの布にトレースする。さらにその文字をマジックで塗りあげる。かなり面倒くさい。しかもそれを体操服の両面に縫いつけなければならない。もう、面倒くさいを通り越して「これを商売にしたら、いくらくらいもらえるかな」と考えを巡らせてほくそ笑む。

計画を立てよう。名前書きは、1枚1000円で1人2枚ずつだから2000円。縫いつけはオプションで、1500円増し。税込にしようかな。税別の方がいいのかしら。どんな人が頼みに来るかな。
『自分で書くのは面倒くさいから、2000円くらいなら出そうかな、縫うのは自分でやろうかな』なんて、考えるかも。

それにしたって、うちの苗字が画数が少ない文字でよかった。田中、とか山本、くらいの感じだ。これが「斎藤」とか「渡邉」とかだったら、諦めてるなあ。薔薇とか憂鬱みたいな文字の人が頼んできたら、断るか、画数が多いから、割増料金にしようかな。

あれ?始業式の次の日あたりにゼッケンをもらって、最初の体育の授業の日には、もうゼッケンをつけていなければならないよね。ということは、同じ日にドッと発注が来るわけだ。これはバイトを雇わねばならんな。それなりのスキルがあればそれでいいが、重要なのは「丁寧な仕事」をする人だ。しかも、手早くやらなければ、お金にならないから、大事なのは「丁寧な仕事が早い人」ということか。そういう人の時給は1000円くらいでも大丈夫だろうか。『こんなの割りが合わないわ!』と言って、すぐに辞めるかもしれない。そうなったら、別の人を探すために西走東奔しなければならないか。
待てよ、時給1000円じゃ、赤字になるじゃないか。だったら値段を上げざるを得ない。うーん。1枚1500円にしたら、どうだろう。高すぎるかなあ。

…妄想の夜は更けていく。

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