見出し画像

いつ働くよ。

1年くらい前、専業主婦から脱しようと思って、仕事を探していた。文章教室は週一だから、それ以外の日も働こうと思ったのだ。
友人がコールセンターで働いていて、時給もまあまあ悪くないし、座ってやる仕事だし、難しいことは何もないよと勧めてくれた。

ネットで探してみると、わたしの希望に合う条件の仕事がいくつも見つかって、これ幸いと派遣会社に連絡をした。「一度、オフィスに来ていただけませんか」と言われて行ってみた。パーテーションの奥から若い男性が出て来て、これに記入してください、とA4ペラ一枚を渡された。原本を何度もコピーした用紙で、文字が荒れていた。連絡先を記入したが「特技やアピール」という欄で手が止まった。悩みに悩んだ末、「真面目」と書いてみた。

用紙を提出すると、以前はどんなお仕事を?と聞かれた。「コピーライターです」と言ったら、ちらっとわたしの顔を見て、そうですか、と答えた。見かけはこんなおばさんですけど、嘘じゃないです、と言いたくなるほどの「そうですか」だった。カタカナ商売なのに、おしゃれじゃなくてすみません。

「それで、コールセンターと、軽作業とどちらがいいですか」と二者択一。一か八かで「企画書や記事など、文章を書くような仕事はないですか」と聞けば、「そうですね、当社では現在そういう案件はお取り扱いしてないんですよ」と丁寧な雰囲気で答えられたが、結局は「ない」のである。ま、いいです。コールセンター狙いで来ているので。

「いま、ご案内できる案件はこちらですね」とある会社のタイムテーブルを出された。学習教材の大手で、お問い合わせに対し、マニュアルで答えるというもの。早朝から夜9時まで、好きな時間帯で入れます、と言われたが、最初は先方の要望に沿ってください、と言われる。「この時間帯だと、家族に相談しないと決められないので、一旦持ち帰ります」と言ってその場を去った。

家にたどり着く前に、スマホに電話がかかって来た。「さらに条件にぴったりのお仕事が見つかりました。」なるほど。「化粧品と健康食品の会社で、会員様のお問い合わせに答え、退会したいという方に思いとどまっていただく仕事です。マニュアルがありますので、商品知識がなくても大丈夫です。」

家に帰って、オットに話してみた。「ダメだ。その仕事はストレスが半端なくて、メンタルの弱いあなたは必ずや心身をこわし、病院代の方が収入よりも高くつくのはわかっている。やめてください。」

あれから1年がたち、わたしは相変わらず収入はない。これでいいのか。

サポートいただけたら、次の記事のネタ探しに使わせていただきます。