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どこで買えるか聞かれる女~仕事のこと~

「忍者の服はどこで買える?」はドンキで解決と思ったのだけど・・・

渋谷で会社をやって10年以上になり、稼いで暮らして飲んで遊んで、経済活動のすべてがほぼ渋谷で完結していたころ。「これって渋谷のどこで買える?」というSOSをよく受けていた。(相手はTVや広告の制作関係のひとから学生さん、主婦の友人までさまざま・・・)

渋谷で困ったら東急ハンズへ行けばほぼ間違いないが、ハンズの網の目を潜り抜けるような、ちょっとアレな相談に、日常生活がウィンドウショッピングに直結していた当時の私は自身の経験と記憶をフル回転して真摯に答えていた。

「アメリカのアニメでちびっこギャングが舐めてそうなでっかいペロペロキャンディ」とか、「裕次郎が猫をなでながらブランデー飲んで寛いでるときに着てるヤツ」とか、あ~わかるけど、いざスグに手に入れようってなると困るね?みたいな相談だ。

なかでも印象深かった相談がある。それは「忍者の服が欲しいんだ」という一見カンタンそうなものだった。
コスプレ系ならとりあえずドンキに行けばいいんじゃない?
そう答えると彼は、いや違うんだと真剣な感じで話し始めた。

「コスプレみたいな安っぽいのじゃダメなんだ。本物の忍者が着てたようなものが欲しくて・・・古着かなぁ。原宿あたりなら、いい古着屋あるかなぁ」

一瞬言葉を失った。いい古着屋はあるが、忍者が古着に出してはないだろう。そもそも、本物の忍者って、普段から私たちがイメージするような忍者の装束を着て、「ニンニン」ってやってたのか?それじゃ全然世を忍べてなくない?本物の忍者の古着って敢えて言うなら、町人とかが着てるような普通の着物なんじゃないか?

そこまで一気に答えると、なるほどと言って彼は「新調する方向で考える」と電話を切った。

その後どうなったのか、知らない。珍しく渋谷で買える店を即答できず、記憶に残る一件である。こんな風にいつまでも、どこでどうしたらわからない瞬間、ググるように気軽に頼られる人間でいたいなぁと思っています。

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