森でいちばん弱い木を守るには?子宮頸がんワクチン「男子だけ全員接種」のこと。【接種できる施設のリストつき】

子宮頸がんワクチン、2回目接種で私にも副反応。それでも3回目を打ちたい理由」もあわせてどうぞ。

なぜ女性だけが不安に思いながら子宮頸がんワクチン接種しなければならないのでしょうか。

女性同性愛者をのぞくすべての女性は、男性から子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピロマーウイルス)をうつされます。女子ではなく男子にこそ全員接種にしてもらい、女性にうつさないようにしてもらうべきではないのでしょうか。

子宮頸がんワクチン接種後の女子に現れるという慢性の痛みや痙攣などの症状は、ワクチンを接種していない男女にも同じくらいの割合で見られることが日本人を対象にした調査からも分かっています。また、その割合は女子より男子の方が低いことも分かっています。医療者としても、ややこしいことの多い思春期の女子よりも、できれば思春期にさしかかる前の男子に接種したいところです。

世界には現在、女子と男子の両方に子宮頸がんワクチンを定期接種している国が20か国以上あります。男子にも接種する理由は2つあります。

ひとつは、男性にも打つことで社会に循環するHPVの量を減らし、女性にHPVが感染するのを防ぐためです。このように社会全体を病気から守り、病気になりやすい人への感染を防ぐことを「集団効果」と言います。

そう言われてもピンとこないという人は、乾燥した森を想像してみてください。

森にある1本の木に火がついたとします。たった1本の木でも、枯れ木の多い乾いた森であれば、火はあっという間に森全体に燃え広がります。

では、川が流れ、水分を多く含んだ木のたくさんある森ならどうでしょうか。隣の木に火は燃え移りづらく、火は川の手前で火は食い止められるでしょう。森全体が火事になることはありません。

ワクチンと社会との関係は、水と森との関係に似ています。森全体に水が多ければ、火は広がらない。つまりワクチンの接種率が高ければ、病気は広がりにくいのです。

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森でいちばん弱い木を守るには?子宮頸がんワクチン「男子だけ全員接種」のこと。【接種できる施設のリストつき】

村中璃子 Riko Muranaka

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