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エボラとBSL4の正しい恐れ方④韓国・中国に抜かれた日本の「国策」

エボラとBSL4の正しい恐れ方③ 生物兵器として使えるただ1つの微生物」の続きです。

今年3月、BSL4ラボを持つカナダ国立微生物研究所所属の中国人研究者2人が、旅客機でエボラウイルスを中国に持ち帰り、解雇・除名されたことが報じられた。

ワクチンや治療薬の開発につながる「知的財産の無断使用」として当局に問題視されているというが、市民からは「旅客機で持ち帰るとは危険だ」「生物兵器を開発つもりか」といった声も上がった。

エボラなど高度に危険な病原体を扱うことのできるBSL4ラボの話をするとすぐ出てくるのが、生物兵器やバイオテロといった「武器としての微生物」の話だ。エボラに生物兵器としての実用性がないことについては、前回記事で詳しく述べたが、気になるのは中国や韓国など隣国のバイオセキュリティ対策事情だ。

日本のメディアでは報じられていないようだが、2017年3月、韓国は国内初のBSL4ラボを稼働させている。

続いて中国も2018年8月、建設費30億元(約45億円)を投じた本土初のBSL4ラボ(台湾にはBSL4ラボが2台ある)をハルビンに完成させている。

つまり1981年、当時、世界最新鋭を誇るBSL4を武蔵村山市に完成させていた日本は、周辺住民の反対にあって30年以上もの間これを稼働させることのができず、結局は中韓に水を空けられる結果となっていたのだ。

今年1月から建設の始まった長崎大学のBSL4を、日本政府は「国策」と位置づけていると言うが(「エボラとBSL4の正しい恐れ方①バイオハザードから考える日本の安心と安全」参照のこと)、筆者の知る限り、BSL4に関して日本政府が「国策」という言葉を用いたのは今回が初めてである。

日本政府のいう「国策」とは、何を意味するのか。

筆者はまず、長崎大学に今年初めから建設中BSL4の「国策」として の位置付けを確認すべく、編集者を通じて厚生労働省に問い合わせを行った。

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エボラとBSL4の正しい恐れ方④韓国・中国に抜かれた日本の「国策」

村中璃子 Riko Muranaka

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村中璃子 Riko Muranaka

医師・ジャーナリスト/ 命にかかわるフェイクニュースに傷つかないために。

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