薄桜鬼短編『僕は君に恋をする』(沖千)

「総司さん。」

君の声が僕を呼ぶ。

君と出会った時こんな風に君に恋をしてしまうなんて思いもしなかった。

あのころの僕はただ、近藤さんの役に立ちたいだけだった。

そして、君と出会い僕の初恋が始まったんだ。

君にいつも意地悪をしてしまっていたのは君を好きになっていたからなんだね。

羅刹になっても君を守りたいと思うほどに。

今こうして君に見送られながら逝ける。

辛いこともたくさんあったはずなのに君との恋が今は僕の全てになっている。

ああ、もしも願いが叶うのなら君の悲しみを僕に全て移せればいいのに。

僕はその痛みなら耐えられるのに。

君が涙を流すのわかっているから。

「何・・泣いてるの・・。」

「総司さんが・・返事っ・・して・・くれないから・・。」

「そっか・・ごめんね。今、君との思い出を思い出してた。」

僕がこう言うと君はまた余計に涙を流す。

伝えたい言葉いくらでも僕の心に溢れてきているのに思うようにでないもんだね。

最後まで未来への地図を君と共に描けないちっぽけな僕だけど君というかけがえない輝きを手にいれる事ができた。

そして、こうやって君との安らかな生活を送る事ができたんだ。

「馬鹿だな・・泣く・・事ない・・じゃない。」

「だって・・泣かないなんてできるわけないじゃないですかっ・・。」

「ごめん、怒らないでよ。」

恋しくて、苦しくて、愛しいじゃたりないくらいの感情が僕の中に渦巻くじゃないか。

君を一人にしてしまう。

許して欲しいなんて言えない。

きっと言えば君は僕を許すと言うだろうから。

「僕は君が好きだよ・・・ねぇ、千鶴。」


「はい・・」

涙混じりに返事をする君。

「僕はね・・君に出会って君に恋して君の笑顔をみているのが・・ゲホッゲホッ・・はぁ・・す・・きだったんだ。ねぇ、千鶴・・僕がいなくなっても色あせることのない恋色に染まった消えない想いを君と見つけることができたんだ。・・だから、泣かないで・・笑って・・。」

だんだんと意識がなくなりそうになっていく。

これが死・・ほんとはまだまだ君に伝えたい言葉いくらでもあるのに・・時間が足りない・・。

もう少し、後少しまってください。僕に時間を下さい・・・。

「ねぇ、僕は・・き・・君が・・好き・・だよ。君・・と居れて・・幸せだっ・た。」

「いやぁぁ、総司さんっ!・・逝かないでぇぇ・・・。」

ああ、ちゃんとこれだけは伝えたい。

君に伝えなくちゃいけない・・・。

「ごめんね・・あり・・がと・・千鶴・・もしも・・生まれかっ・われるのなら・・僕はっ・・君に・・また恋を・・するよ・・。」

ああ、もっといっぱい君に伝えたい。

君に言いたい事はいくらでも溢れてるのに・・・。

「僕のっ・・心を・・君にあっ・げる・・。だからっ・泣かない・・で・・笑って・・また・・いつか・・あえ・・・る・・よ。」


僕の意識が闇に飲まれていく。

ああ、千鶴、もし生まれ変われるのなら僕はまた君に恋をしたい。

何度も何度でも君に恋をしたい。

また、きっと何処かで逢える。

泣かないで、笑って、好きだよ。

ああ、君は涙を堪えて笑ってくれたね。

千鶴、さよなら。ありがとう。好きだよ、大好きだよ。

僕は最後のの力を振り絞るように唇を動かす。


”き・み・を・・永・遠・に・あ・い・す・る・・・・”


「嫌ですっ!・・嫌・・・逝かないで・・私も永遠に愛します!!・・総司さん!!総司さぁぁぁぁん・・い・・や・・嫌・・。」


僕は君を永遠に愛する。

そして、生まれ変わる事ができるのなら、どんな時代でも君を探し出してまた、君に恋をする。

この魂が君を覚えているから・・・・。




END

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薄桜鬼で沖田総司×雪村千鶴で沖田の最後をみとるやつを書いてみたくて書いたやつ。

とても拙い文章だけど、それなりに考えてたんだ、その時は。

駄文置き場より転載。

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