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産みの苦しみとは何か.

何かリファレンスがあるにしろ、
物事を0から生み出すことをクリエイティブだとこの場は定義した時に、

自分が比較的苦を感じずに表現が出来るのは
映像だけだ.

今までに音楽や写真、文章といった創作活動を
行ってきたけれども、
映像以外のどれもが、苦痛を伴うというのは
我ながら面白いと感じていて、

今回はその苦痛が何なのかを少し明らかにしていきたい.

苦痛というと、なんだかふわっとしていて伝わりにくいけれど、
つまり「産みの苦しみ」が映像の場合少ないというところだろうか.

今こうして文章を書いていると、
言葉のニュアンスや響き、文体、リズム、構成などを意識しようとすると
どうしても手が止まることが多々ある.

自分のnoteの下書き欄には、今までかなりの文章を溜めていて、
書いては残し、書いては残しを繰り返して
中々納得のいく「作品」が産み出せないことが多いのだ.

ここで「作品」と言ったのは、自分の中で
他人に公開するにあたっての最低限の
クオリティの担保という意味だ.

SNSに公開する以上、それはただの脳内の垂れ流しであることはできない.
それが読まれ、何かしらの形で伝わることを前提としているから、
しっかりとした「作品」の体を成している必要がある.

この意味において、映像以外の「作品」が
自身の中で納得感を得るまでに時間を要する、

あるいは自身の中で心地よさを得られないことが多く、
途中で投げ出してしまうケースは多い.

この納得感や居心地の良さを得られる為に
必要なのは圧倒的に技術の問題であることは明白だ.

何事も表現するにあたって技術は必要で、
それを日々コツコツと遂行できるか否かは
作品のクオリティに大きく左右すると思う.

技術は一朝一夕に得られるものではない.
日々コツコツと遂行することで得られる賜物だ.

その意味において、映像以外はこの「コツコツ」が続かない.

不思議なものだ.
音楽も、写真も、文章も、創るのは「好き」なはずなのに、
このコツコツができないせいで、技術が追いついてないせいで、
納得感や心地よい作品を産み出すことができない.

これを恐らく「産みの苦み」というのだろう.

無論、技術以外にも、発想が「降りてこない」こともある.

だけれども、人間日々何かしら感じることはあって、
自分の場合は「降りてこない」ことよりも、
発想を料理するための10ある手段を自由に使いこなせないことの方が、圧倒的に多い気がしている.

本来好きであるはずのものが、技術の不足によって自由に表現できないことに不満を抱くのだ.

それはつまり、好きではないのではないか、
とすら考えたくなる時がある.

でも、嫌いにはなれないのだ.

だから苦しいのだ.

話は少しそれるが、自分は手段と目的が
基本的に一致していないと気が済まない.

生きる意味を目的とするなら、
その目的は必ずなんらかの手段の遂行によって
達成されなければならないのだが、

そのなんらかの手段は、生きる目的と符合しなければならない、ということだ.

だから、ただ技術の向上のためだけに文章を書いたり、
音楽を創ることは、自分の場合受け入れられない.

それは必ず自身の生きる意味に付随してなければならないのだ.

このように言うと、技術に乏しく拙いものでも、
自身の中で好きな納得感のあるものを産み出せばいいという反駁がありそうだが、

冒頭述べたように、それが
誰かに伝わる「作品」である以上、

クオリティが最低限担保されていないものは
「作品」として値しないのである.

この辺りの感覚は非常に堅苦しいとは思いつつ、
プロ意識と生真面目さからくる性質と捉えられよう.

こうしてみると、生きる意味と目的が一致して、
飽くなき技術の向上に邁進できるものを一つでも見つけられた自分は幸せなのかもしれない.

映像が仕事として成り立っているのも、
自身の表現の場として開かれていながら、
最低限のクオリティが担保されているからだ.

つまり手段と目的とが一致している、ということだろう.

映像以外の表現になぜ苦しみが伴うかと言えば、
それは表現としては好きだが、
それを日々鍛錬として営むことが難しいからだ.

つまり「産みの苦しみ」は、営み自体愛しているものでありながら、
手段と目的が常には一致せず、怠慢になってしまう自分を許す事ができない時に生ずる感情なのだ.

怠慢になる、というのは意味を見いだせていないということだ.

今こうして文章を書けているのも、そこに書くことへの意味が付随しているからだろう.

映像という手段と目的の両方を得たのだから、
せめて他の表現はもう少し気楽に行いたいものだが、
何分生真面目故、一切の妥協ができない性分なのだ.










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