【アルビノの魚】太陽と海が番った話
海の色が青いのは、青空の反映ではない。
潮の流れが、太陽を淡く溶けるような青として感知するのだ。
太陽は自らが輝くその理由を知りはしないし、
ましてやその輝きが遠い月の記憶を呼び覚まし、
深淵に注ぎ込む光のカーテンとなることを知らない。
心が窶れている者にとって、その邪気のない光は
肉体を溶かし、ただ海に放られるだけの骨粉へと私たちを変えるだろう。
その意味で骨は幸福にも見える。
ただ在るということ以外の意味を持たず、
それは漂い、何処の地で再会が約束されているからだ。
遠い彼の地で、太陽を祝福する祝祭が開かれている。
風伝えに、陸伝えに、海伝えに。
それは誰かの記憶。誰かが誰かを愛した記憶。
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