『分断した世界』高城剛:どうすれば世界をフラットに見つめ続けることができるのか
2019年の1月に話題を集めた『FACTFULNESS』という本がある。
私も以下のような書評を書いているが、
今回紹介する高城剛著『分断した世界』は、FACTFULNESSな観点で世界の今をレポートした一冊だ。
2016年、アメリカでトランプ大統領が誕生して以来、
「アメリカ・ファースト」という言葉が世の中に浸透していると思う。
自国の利益を最優先し、世界の警察であることを止める。
この方針がアメリカ国内で思いもよらぬ(正にインテリジェンス層のバイアスの最たる例だと思う)支持を集めたことは世界に衝撃を与えた。
そしてこれはBrexitの発生により、更に顕著になったと思う。
知識人たちが思っている、思っていた世界はすでに崩壊している。
先進国の多くの人々は、
ITとグローバリズムがもたらしたかつてない貧富の差に不満を募らせ、
ポピュリズムが支持を集める。
本書で言及されている、
アメリカの貧困率が先進国で最高水準だという
経済協力開発機構の調査は、私達のバイアスを象徴している結果だと思うし、
今の流れが起こるべくして起こっていることを表している。
またEUで施行されたGDPRに関しても本書内では触れている。
これも正に、
GAFAを始めとする
Tech Giantsが人々のデータを元に莫大な富を生み出すことを拒絶し、
インターネットによって際限なくつながった世界を
自分たちの手に取り戻そうとする動きの象徴だ。
もちろんこの流れが、常に変わらず続くとは限らない。
2020年11月にはアメリカ大統領選挙がある。
先日、以下の記事も話題になっていたが
知識人やTech Giantsは同じ過ち(もちろんこれは彼らの文脈上である)を繰り返さないための対策を講じるだろう。
私が個人的に重要だと思っていることは
実際に今世界で何が起きているかを自ら能動的に取得しにいくことを意識するということだ。
日本での報道はやはり遅れているし、
そもそも大衆の人気を集めるコンテンツでない報道されない傾向にあると思う。
そのときにこの意識がないと
過去のバイアスに囚われた、間違った判断をする人間になってしまう。
先日、とあるシンポジウムで高校生たちのトークセッションを見学したのだが、
彼らはすでに日本が経済的に劣っている国である、という認識を持っていることに驚かされた。中国やインドなど他のアジアの国の勢いや成長をフラットに受け止めている。
そんな彼らの未来は明るいと思ったし、
彼らと一緒に面白い世界を実現していくためにも、
繰り返しになるが、
世界をフラットにみつめ、何が今起こっているのかを正しく知る。
このことを改めて意識するべきだと感じた。
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