【書評】なぜ世界は存在しないのか:マルクス・ガブリエル

哲学者の思想を読むとはどういう行為なのか。

2021年に入り、意識的に哲学書と呼ばれるジャンルの本を読むようになり

この行為の意味を考えるようになった。

自分にとっての読書とは、

・感情を動かすという意味での娯楽

・知らない世界を教えてくれる手段

の二つに基本的には分類できる。

哲学書を読むことも、後者の方に該当するのだと、当初は思っていた。

しかしマルクス・ガブリエルの『なぜ、世界は存在しないのか』を読むことで、その認識は改めさせられた。

・知らない世界の存在を教えてくれる手段

これが今現在、自分が感じている哲学書を読むことの意味である。

「知らない世界を教えてくれる手段」と何が違うのか?

こういう世界があることは知っている。ただし、詳細に関しては知らない。という物事に関して書物を通して知っていく体験を「知らない世界を教えてくれる手段」という定義は指し示している。

一方、

哲学書を読むことについては、

そんな世界があることすら、そもそも想像していなかった物事に関して、

認識するきっかけをくれる体験であると定義できる。

より具体的に言えば、

世界が存在する。存在しない。という議論や考えの存在自体を自分は認識していなかった。

世界は当たり前に存在するものだし、

誰もがそれを疑うことはないのだと思っていた。

しかし世界をどう定義するのか。ということから考え、

世界とはなんなのかを言語化すれば、

確かにマルクス・ガブリエルの書いている通り、

世界は存在しないという言説に一定の説得力が生まれてくる。

正直に言えば、

ここで唱えられている説が間違いなく正しいのか、自分には今時点で判断できない。

背景の知識や、

他の哲学者がどんな考えを持っているかに対して、あまりにも無知であるからだ。

確かに本書で書かれていた、「新しい実在論」は説得力を持つ言説であるように自分は感じる。

だからと言って、

この一冊だけを読んで、これは間違いなく正しい。と判断を下す態度が是とされる訳は当然ない。

こういった議論があることを知った。だかこそ、これを入り口にして他の方がどんな持論を展開しているのかを知るきっかけとする。

時間が経つにつれ、

哲学を読むことが自分にとって冒頭で説明した2つ目に該当するようになるのかもしれない。

そうなれば世界が広がるという意味でいいことであるし、

次の何かを見つければいいのだ。

新しい課題を提示されたと思い、

まずはこの領域を把握することに取り組もうと思う。

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