垂れ眉のおとんとわたし

じぃちゃんと

おかんと

ねえちゃんと


書いていながら、おとんを書かないのはマズイ。別にマズくはないけど、遺伝子的に、罪悪感を感じる。


よしながふみさんの漫画「きのう何食べた?」で、主人公のシロさんのお父さんが病気で、ってなった時に、シロさんが「病気になったのがお母さんじゃなくてよかった」と思ってしまうことに罪悪感を抱いた、というシーンがありまして。

これはぶっちゃけ、私も思う。だっておかんが入院とかしたら、最低限の家事しかできないおとんはどうなるの?って不安だもの。

というなんともタイムリーなネタの元、近年おとんは病院にお世話になりまくっている。知っている限りでも網膜剥離に胆石で2回は入院した。


おとんも苦労人。

おとんのおとん(じぃちゃん)が病院側のミスで3ヵ月間植物状態になった末に亡くなってから、おとんのおかん(ばぁちゃん)がパーキンソン病であることが判明した。

車で10分の距離とは言え、毎日仕事に行く前と帰りにばぁちゃん家に行って様子を見る。若い人がいない、集落の田んぼ用水路の様子をチェックする。じぃちゃんが残した遺産や土地の処理をする。


その頃、おとんは10キロくらい痩せた。


今でも畑と田んぼの世話をするために、週末にはおかんと一緒に誰も住んでいないばぁちゃん家に行く。もう流石に自分の体の面倒も看れないのに、ということで老人ホームに入ったばぁちゃんは、番長のように居座っているらしい。それはそれでよかったと思う。


なんとなくだけど、おとんもだしおかんもだが、昔の話を聞いたことがない。

なんとなくおとんのことで覚えているのは、農協の仕事がしたくて高校の農業科に進んだものの、普通科でないとダメだったと分かってからは学生時代は遊んで過ごすことにした、とか、独学で自動車整備士の資格を取ったとか。

もうちょっとあったような気もするけど、それだけで十分な気さえする。

おとんに関しては、いい意味で本当になんとなくでいい。と思う。なんとなくね。


今年のお正月に帰省した際、ちょうど入れ違いでおとんが入院した。1月5日、正月明け早々胆石の手術してもらうようにしたらしい。

入院している時というのは、何か本を持っていくのが相場だ。おとんは自動車整備士、昔もかっこいい車に乗っていたと聞く。忘れたけど。

本屋で「国産車の歴史」みたいな雑誌があったので、値は張ったが買う。ついでに、見ないだろうけど「趣味の園芸」も。パチスロ誌は、もうちょっと元気になってから。

病室のおとんはなんだかよそよそしくて、何を娘相手に照れてんだかwとこっちが恥ずかしくなる。雑誌を渡すと、「こんなん、見ん見ん!」と言いながらも、数分後には「ほぉ~」とか言いながら必死に見ていた。単純なのはおとん譲りです。


「お前、仕事はどうなんか」

「ちゃんと食いよるんか?」

「東京はどんなか」

ぽつりぽつりと、おとんが聞いてくる。

「くっそ忙しいのに時給が変わらんけぇせんないっちゃーね」

「食べよる食べよる、自炊もしよるよ」

「ちーたぁ慣れたかね。新宿駅は慣れんけど」

ここが病室だからか、な~んとなく、会話がしにくい。まぁだって、おとんと会うのも3ヵ月振りくらいだしなぁ。

「父さん、娘が顔出してくれてうれしかろ?」

「自分で言うな!」

自分で言わないと、誰も言ってくれないからね。


私はガチで分かりやすく垂れ眉で、半分以上抜いて書いている。

困った顔をすると、絵のようにハの字に垂れる眉毛が学生時代は本当に嫌だった。けど、ちゃんと書き方も覚えると、遺伝ってすげぇなと笑わざるを得ない。

なんだかんだ、おとんのことはちゃんと尊敬している。まぁこれは二十歳過ぎるまで、分からなかったけど。

結婚前に、そのことだけちゃんと分かってよかったかしらね。当分、「今までありがとう」って言う機会はなさそうだけど。その方がおとん、安心するかしら?


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ありがとうございます!1万円貯まったらmacの充電式マウスを買わせていただきます!

今日を1日が既に最高になりました
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戻ってきたよ!! まだ工事中→http://toraharu.boy.jp/
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