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最後にしたLINEは

別れようと言う話になる直前にしていたLINE。

「出会って2年記念日に何か私たちらしい思い出を残そう!」

と私が持ちかけた内容だった。

高級レストランに行って美味しいものを食べて綺麗な夜景なんか眺めなくてもいい。

でも、私たちにしか出来ないことをしよう。

そう伝えていた。

でも、それは叶うことはなかった。

実は1年目はほとんどが遠距離だったということもあり、1年記念日はなかった。

会うのさえ月1が限界だった。

だから2年目はやりたかったのだ。

みんなと同じじゃなくていいから2人の思い出を残したかった。

創作のプロだった彼との思い出を形に残したかった。

それは音楽でも文章でも絵でも何でも良かった。

1通の手紙でも良かった。

叶わなかった想いを胸に8月の夜空を眺めると、不意に涙が溢れそうになった。

あまりに失恋のショックを受けて傷心している私に医者はSSRIを処方した。

毎晩涙が止まらず朝起きると酷い倦怠感に襲われる日々に少し疲れていた。

1錠飲んで、こんなことをしていてはダメだと我に返り、その日からまた前に進み始めた。

薬はそれきり飲んでいない。

私は前に進めただろうか。

分からない。

だけどきっともう本当に進まなくてはいけない時が来ている。

後ろを振り返る手段を海に投げ捨てた。

連絡手段を放棄すると、また一歩だけ前に進めるような気がした。

今年の夏は、夏らしい思い出がなかった。

2年前の夏に始まった恋が、今年の夏に終わった。

今年はそんな夏だった。

終わりが怖いと彼氏に泣きついていた私は、彼氏から終わりを教わった。

怖くないなんてまだ思えない。

だけど、終わらない恋をしようと強く心に誓った。

水槽で飼っている金魚だって、世話を焼かなければ死んでしまう。

ロベリアだって、水をやらなければ枯れてしまう。

恋も同じだ。

暇つぶしをした時間が多ければ多いほどにその人の存在は大きくなっていく。

久しぶりに1人になってしまった。

だけど少しだけ強くなれた気がする。

もうすぐ秋がくる。

#さよなら #夏 #こんにちは #秋 #恋 #一歩