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ケーススタディ〜怒りの処理〜

    先週の朝の出来事です。

    園庭で遊んでいた3歳児のAくんが、少し怒ったようにままごとのコップを持ってBくんを追いかけ始めました。座り込んだBくんが持っていたままごとのボールを、Aくんが引っ張り始めたので、追いかけた原因はボールの取り合いだったことが分かりました。
   いつでも止められるように近くで見ていると、Aくんが持っていたままごとのコップでBくんの頭を叩きました。コップの中には泥も入っていたので、つい「コップで叩いたら痛いよ」とAくんの手を止めてしまいました。
  急に止められたAくんは怒って大きな声で叫びながら、私の服や腕カバーを噛み始めました。「先生だって噛まれたら痛いからやめて」と言うと、さらに怒って叩いたり、噛んだり、感情が昂っている様子だったので、「少し離れたところに行こう」とAくんを抱き上げて移動しました。
    移動させられたことでさらに怒ってしまったので、Aくんの気持ちが落ち着くまで待とうと思いながら、「そうかぁ、ボールが欲しかったんだね」と言うと、Aくんが急に手を差し伸べてきました。抱っこをして、Bくんが遊んでいるそばに戻ると、しばらく眺めていたのですが、「もういい」と言って下りて遊び始めました。

 子どもは自分の気持ちを表現する方法や言葉を少しずつ身に付けていますが、怒りや悲しみの感情に押されると、言葉で表現することができなくなってしまいます。そうなると、もう大声で泣き叫ぶしかないのでしょう。

 友達の頭を叩いた瞬間、「しまった」と思うのでしょうが、叱られると思うとどうしたらいいかわからなくなってしまいます。叩くことは悪いことというのは、もう十分わかっています。わかっているのですが、叩いてしまう瞬間にはそれよりも強い衝動に抗えなくなっているのだと思います。

 子どもが叩いたりすると、大人も感情的に怒ってしまいますが、怒りに怒りで対抗しても、子どもには恐怖が伝わるだけではないでしょうか。大人も感情で動いてしまいますが、もっと子どもの気持ちに寄り添うことができるようになるといいですね。

 

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